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職住近接のメリット・デメリット

POSTED : 2015.8.18

2015年7月9日に放送されたカンブリア宮殿(テレビ東京)で、東急電鉄の取組みが紹介されました。番組内で野本弘文社長は、「東急沿線は2020年をピークに減少すると予測しています。それに向けて、東急は生き残りをかけた新戦略を打ち出しました。その戦略は、“ここでしか体験できない体験型です。」と述べられました。

東急電鉄の都市開発事業は、「渋谷駅周辺地区」「二子玉川ライズ」「ベトナムホーチミン市郊外ビンズン省」の3プロジェクトが現在進行中です。中でも二子玉川は、“日本一働きたい街へ”として、「ここにしかない店」「“働く”をプラス(新オフィスビル)」というテーマで再開発しており、住んでよし、働いてよし、訪れてよしの3拍子揃った街づくりを目指しています。その狙いは、二子玉川で働く人が東急沿線に引っ越してもらうことで「職住近接」を実現させ、同時に東急電鉄も利用者増加と街の魅力向上を図ることです。

実際に、従業員数が連結で1万2000人に成長した楽天は今年二子玉川に移転しました。楽天はホームページ上で、「都市機能と自然環境のバランスがとれた二子玉川への本社移転を機に、これまで以上に福利厚生などの制度面を整え、従業員が快適で健康的なオフィスライフを送ることができるように支援します」としています。

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図1.第2期事業完成後のイメージパース
(出所:東急電鉄ホームページ,二子玉川東第二地区市街地再開発組合作成)

 

この「職住近接」という概念は、決して近年生まれたものではありません。18世紀末にイギリスで産業革命が起きて以降、急速な工業化によって都市人口が増え、様々な都市問題が生じました。そこで、エベネーザ・ハワードが『都市と農村の結婚』で提唱したのが「田園都市」です。

ハワード没後の1946年、大ロンドン計画が発表され、数多くのニュータウンやグリーンベルトがロンドン郊外に作られました。この計画には、ハワードの思想が大いに影響しました。日本でも戦後に多くのニュータウンが作られました。代表的なのは多摩ニュータウン(東京)、千里ニュータウン(大阪)です。しかし、グリーンベルト(緩衝地帯)を造らなかったため、結局これらのニュータウンは都市部へ働きに行く人たちのベッドタウンとなってしまい、職住近接は実現できませんでした。

ところで、職住近接のメリット・デメリットは何でしょうか?あてはまる点を以下に挙げてみました。

【メリット】

・男性の帰宅時間が早まり、女性の家事負担・子育て負担が減るため、女性が働きやすくなる

・通勤時間が減るため、満員電車による疲労を回避できる

・時間的なゆとりができ、家庭の団欒時間が増加する

・すぐにショッピングや趣味等を愉しめる空間がある

・交通費が減るため、社会保険料が下がる

・帰宅困難にならない

職住近接の直接的なメリットは、やはり「通勤時間の削減」でしょう。通勤では時間体力精神を消耗しているため、職住近接は一石三鳥と言えるかもしれません。それによって生まれたゆとりを、家庭や自分の余暇に使うことができれば、巡り巡って自分の健康やメンタルに好循環をもたらすはずです。
現代では、仕事に「クリエイティビティ」が求められることが多くなっています。企業によってはそれが競争力の源泉になることがあります。よって、創造的な仕事ができる環境(都市)、創造的な仕事をする人が集まる環境(都市)を作ることが今後ますます重要になるでしょう。職住近接は、そのような時代の流れをよんだ取組みと言えます。

【デメリット】

・仕事のオン、オフの切り替えが難しい。帰宅しても脳内が常に臨戦態勢。

・オフィスの周辺は家賃が高い

・会社の人と夜遅くまで飲んでしまう

・通勤のスキマ時間を利用した運動や勉強ができない

・自宅の近くで会社の人に遭遇する確率が高い

デメリットとしては、気持ちの切り替えや自己管理がしづらい、経済的負担が大きいといった点があります。休日なのに急に呼ばれたりしないか、夜遅くまで飲んで同僚や上司が自宅に泊まりに来ないか、といった心配があるのは想像に難くありません。しかし、近年では会社の同僚や上司とSNSで繋がっていたり、常時携帯電話で連絡を取り合うことが増えており、会社の近くに住まなくても、このような悩みは存在します。よって、職住近接だけが原因ではないでしょう。経済的な負担に関しては、個々人のライフプランや企業の福利厚生制度にもよりますので、また別途検討することにします(おわり)。