企業・従業員・自治体・健保組合で取り組む健康経営 コミュニティ 健康経営.com

文字サイズ

標準

拡大

健康経営.com

bookinアイコン Twitterアイコン faceアイコン

企業・従業員・自治体・健保組合で取り組む 健康経営 コミュニティ

  • HOME >
  • メルマガ関連

メルマガ関連

コラム

POSTED : 2015.7.1

 

ワーク・ライフ・バランス

 

 

1.国際問題となっている日本の過労死

 

国連の経済社会理事会の下に、「社会権規約委員会」という委員会があります。

 

「社会権規約委員会」とは、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)の履行を確保するために設置された委員会であり、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の履行を確保するために設置された「自由権規約委員会」と並んで、国際人権規約の履行を確保するための国連機関として重要な役割を果たしています。

 

この「社会権規約委員会」が2013年5月17日に日本を含む7か国に対してそれぞれ総括所見を採択しましたが、日本に対する総括所見37項目の中で、「過労死や職場の精神的嫌がらせによる自殺などが起っていること」が取り上げられていることが当時注目されました。

 

つまり、日本における過労死やパワハラが、国際問題として取り上げられたのです。それ以降、日本国内においてもブラック企業といった用語が広く使われるようになったことは皆様の記憶にも新しいことと思います。

 

確かに日本人はよく働くと昔から言われているが、日本の職場環境は国連に問題視される程ひどい状況なのでしょうか?

 

実は他の調査でも、日本の職場環境におけるワーク・ライフ・バランスの問題が取り上げられています。

 

例えば、International Research Instituteが2007年に世界24か国のワーク・ライフ・バランスについて調査したところ、ワーク・ライフ・バランスに不満を持つ人は24か国中日本が一番多いという調査結果になったとのことです。

 

さらに、2001年のOECD Employment Outlook 2001 でも、日本のワーク・ライフ・バランスはOECD18か国中17位という結果が出ています。日本の職場は諸外国と比べてワーク・ライフ・バランスが重視されていない環境であると言わざるを得ない状況であることはどうやら間違いなさそうです。

 

諸外国を見ると、ワーク・ライフ・バランスを重視する様々な取組が行われています。

 

例えばフランスでは企業内保育所支援の設置運営を政策的に支援しており、また、ドイツでは企業が従業員に対して追加的な保育費用補助手当を支給する場合、当該手当にかかる部分を非課税にするといった国としての社会保障政策が行われていて、いずれも効果を上げているようです。

 

実は、日本においても、2007 年 12 月に「ワーク・ライフ・バランス憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を策定し、そのもとで法整備が進められてきました。 それでもなお社会権規約委員会からこのような勧告を受けたということは、まだまだ諸外国と同じ水準までワーク・ライフ・バランスが改善されていないということかも知れません。

 

2.日本人は本当に働き過ぎか?

 

独立行政法人労働政策研究・研修機構のデータを見る限り、実は、年間所定労働時間は昭和61年以降継続して減少しています。それにもかかわらず過労死の労災申請件数は減るどころかむしろ増え続けています。

 

また、労災認定基準にあたる月80時間を超える時間外労働を通常勤務を含めた週の勤務時間に直すと週60時間となりますが、「労働力調査」の2013年平均結果によれば、週60時間以上働いている人は、自営業者や家庭従業員を含めれば578万人いるとのことです。

 

もし職場における「心理的な負担」が働いている時間と比例しているならば、この578万人はかなりの心理的な負担を抱えていることになりますが実際にはそうではないと思います。この578万人の中には仕事そのものが生活、そして生きがいであり、仕事を心から楽しんでいる人が相当数いるはずです。

 

「過労」という表現からは、「働き過ぎ」というイメージが想起されますが、国際的な問題となっている我が国の過労死の問題は、本来は「働き過ぎ」が原因ではなく、職場環境に心理的な負担の原因が存在していることが問題であるはずです。

 

それでは、過労につながる心理的な負担の原因とは何でしょうか?

 

医学的には様々な分析結果があると思いますが、結局のところ傾向こそあれ根本的には人によってそれぞれ原因は異なると思います。

 

つまり、「心理的な負担」の原因が人それぞれ異なる中で、これまでの我が国はそれぞれの心理的負担の原因を取りぞくための対策を行ってこなかったために国際的に問題視されるほどの過労死の問題を抱えることになってしまったといえるでしょう。

 

3.ストレスチェック制度への期待

 

ストレスチェックは、各企業がうまく活用することができれば、従業員のワーク・ライフ・バランスを改善し、「心の健康」を保つことができる有用な仕組みであるはずです。

 

ぜひ各企業がストレスチェックをうまく活用し、そしてそれにより我が国国民全員が「心の健康」を保ち、ひいては我が国全体の競争力が高まるようになるとよいと思います。

 

以上

 

次ページへ