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自治体・国保の取組事例

市民全体とのつながりを目指す 茨木市

POSTED : 2018.10.3

 

 

 

1.茨木市について

 

茨木市は淀川北の大阪府北部に位置し、北は京都府亀岡市に、東は高槻市、南は摂津市、西は吹田市・箕面市・豊能郡豊能町に接している。2018年7月末の人口は約28.2万人と大阪府で8番目の人口となっており、北大阪の交通・産業の要衝として重要な位置を占めている。その一方で、山間部である北部地域には昔ながらの豊かな自然と田園風景がひろがる美しい里山の景観があり、現在に伝承された歴史と文化、新鮮な農産物といった貴重な資源も数多く存在している。

 

市内には、子育て支援総合センターをはじめ、地域子育て支援センターやつどいの広場など地域子育て支援拠点が22か所ある。学校教育では教育委員会と学校が一丸となって、『子どもたちの学力を支える5つの力(「ゆめ力」、「自分力」、「つながり力」、「学び力」、「体力」)を高めていく取組』を進めており、 全国的に注目を集めている。また平成27年4月に新たに立命館大学大阪いばらきキャンパスが開学し、追手門学院大学、藍野大学、藍野大学短期大学部、梅花女子大学、大阪行岡医療大学の計6大学が立地している。

 

豊かな自然、交通の便、充実した教育環境をもつ茨木市の人気は高く、人口は増加しており、高齢化率も平成30年時点では23%と全国平均を大きく下回っているが、平成32年度にはその人口も減少に転ずるという見込みが発表されている。

 

 

2.健康いばらき21・食育推進計画(第3次)

 

茨木市は、「茨木市総合保健福祉計画」を平成24年3月に策定し、「すべての市民がひとりの人間として尊重され、支え合い、助け合う中で生きがいを持って、安心して暮らしつづけられる福祉のまちづくり」を目指し、各施策を推進してきた。平成30年度からは「すべての人が健やかに、支え合い暮らせる、みんなが主役の地域共生のまちづくり」を目指し「茨木市総合保健福祉計画(第2次)」を策定している。

 

「茨木市総合保健福祉計画(第2次)」では、理念に基づき各施策を推進するため、以下の6つの基本目標を定めている。

 

基本目標1 お互いにつながり支え合える

基本目標2 健康にいきいきと自立した生活を送る

基本目標3 “憩える・活躍できる”場をつくる

基本目標4 一人ひとりの権利が尊重される

基本目標5 安全・安心で必要な情報が活かされる

基本目標6 社会保障制度の推進に努める

 

この6つの基本目標は「茨木市総合保健福祉計画」における「地域福祉計画」「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」「障害者施策に関する長期計画・障害福祉計画・障害児福祉計画」「健康いばらき21・食育推進計画」の4分野に共通の目標となっている。

 

「健康いばらき21・食育推進計画(第2次)」は「茨木市総合保健福祉計画」の分野別計画の一つとして「健康づくりや健全な食育」を総合的に推進するために策定され、平成30年度から「茨木市総合保健福祉計画(第2次)」と併せて「健康いばらき21・食育推進計画(第3次)」が策定されている。

 

(資料出所:健康いばらき21・食育推進計画(第3次))

 

 

「健康いばらき21・食育推進計画(第3次)」の取組イメージは以下の通りとなっている。

 

(資料出所:健康いばらき21・食育推進計画(第3次))

 

「健康いばらき21・食育推進計画(第3次)」では、「茨木市総合保健福祉計画(第2次)」に定める6つの基本目標のうち、基本目標1 「お互いにつながり支え合える」、基本目標2 「健康にいきいきと自立した生活を送る」、基本目標3 「“憩える・活躍できる”場をつくる」、基本目標5 「安全・安心で必要な情報が活かされる」について施策及び取り組みを定めている。

 

また、「健康いばらき21・食育推進計画(第3次)」は、茨木市国民健康保険の健診結果やレセプトデータを活用し、保健事業の効果的・効率的な実施を図る「国民健康保険保健事業実施計画(第2期データヘルス計画)」及び、特定健康診査・特定保健指導の実施方法等を定めた「特定健康診査等実施計画(第3期)」とも整合性を図り、生活習慣病予防という目的のために、広く市民を対象とした健康づくりに取り組んでいる。

 

このように茨木市では「すべての人が健やかに、支え合い暮らせる、みんなが主役の地域共生のまちづくり」を理念として、各計画が共通の目標をもって、それぞれの分野で一体となって施策を推進する体制となっており、データヘルス計画に基づいた、特定健康診査・特定保健指導含めた健康づくりについても、相談の実施・場の提供・機会の拡大・情報の発信・関係機関との連携などを通じた取組が行われている。

 

 

3.特定保健指導と重症化予防

 

茨木市では特定健診データや電子レセプトデータを基に、特定健診や特定保健指導、生活習慣病の重症化予防等の保健事業を効果的に実施し、医療費の適正化を目指すことを目的として「第2期データヘルス計画」を定め、生活習慣病予防のため、特定健診及び特定保健指導を実施し、医療費の適正化を目指す「第3期特定健康診査等実施計画」を定めており、それぞれ平成30年度~35年度の6年間が実施期間となっている。

 

茨木市国民健康保険加入者の特定保健指導対象者に対する特定保健指導利用者の比率は、平成20年度4.9%であったところ、大きな課題意識をもってこれまで改善に取り組んできており、以下の通り平成28年度には62.8%にまで上昇している。

 

(資料出所:茨木市提供データを日通システムが加工)

 

 

茨木市健康福祉部保健医療課にお話をお伺いしたところ、主に以下の通りの改善を行ってきたことであった。

 

 

<保健師と管理栄養士による体制>

 

茨木市では保健師4名、管理栄養士1名からなる専門職を配置し、茨木市保健医療センターにて特定保健指導にあたっている。これらに従事する専門職は、専任として保健指導にあたることができるような体制をとり、それによってノウハウの蓄積や継続的な支援が可能となっている。

 

<特定健診受診後のフォロー>

 

特定健診受診後のフォローでは、対象者には個別に電話をして特定保健指導への参加を呼び掛けている。さらに必要に応じて訪問フォローも行っているが、その訪問フォローには可能な場合は管理栄養士も同行して栄養面でのアドバイスも行っている。

 

<集団健診結果説明会の工夫>

 

健診受診後のフォローとして、保健医療センターで行う集団健診の結果説明会がある。通常、集団健診の1か月後に結果説明会を開催し、平日だけなく月に1回、日曜日にも開催している。

 

 

なお、このような体制面だけでなく、保健指導実施の際は、特に「対象者の方にわかりやすく伝え、対象者自身が気付くこと」を気にかけているとのお話もいただいた。保健指導の内容について、対象者の方が「しんどい」と思ってしまうと、たとえ保健指導が必要と分かっていても「保健指導を受けたくない」と感じてしまうため、対象者の方が、「もう1回受けたい」と思うような保健指導を実施するように心がけているとのこと。

 

ただし、保健指導実施率が4.9%から62.8%に改善したとしても、対象者は「特定健診を受診した国民健康保険の被保険者」の中に限られる。特定健診受診率は平成28年度で30.3%と全国平均を下回っており、かつ伸び悩んでいるため、まずはこの特定健診実施率を改善することが急務であると考えている。

 

また、データヘルス計画では重症化予防にも力を入れている。健診結果の送付のタイミングやレセプトの確認などのタイミングに合わせて、地区担当の保健師が3回程度介入するようにしている。国民健康保険の被保険者が対象となるが、おそらく国保加入以前から受診の必要性を指摘された方もいると思われる。基準値を超えた場合はできるだけ早期に治療することが重要であり、職域と連携して受療率向上に取り組むことが重要であると感じている。

 

 

4.適塩GOプロジェクト

 

茨木市のデータヘルス計画の課題として、脳血管疾患群の医療費・患者数がともに多いことがある。脳血管疾患群の基礎疾患となる高血圧症に着目して分析した結果、実際に国民健康保険被保険者に高血圧の方が多いということが判明したため、茨木市では高血圧症の予防を重点的なテーマとして定めた。

「適塩 GOプロジェクト」は、その高血圧症の予防としての「適塩」について、周知・啓発活動を行う取組である。

 

適塩GOプロジェクトでは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層(市民全体)をターゲットとし広く市民の方にアプローチしながら、「適塩」をテーマとして、地域に根ざした形でアプローチすることを目指している。これまでに市内の体育館、市役所、イオンスタイル新茨木、スーパーKOHYO茨木店、立命館大学大阪いばらきキャンパス内等でイベントを行い、市民全体に適塩への意識をもっていただくための啓発活動を行ってきた。

 

※ 適塩GOプロジェクトの詳細について、以下茨木市ホームページ参照

http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/kenkof/hokeniryoka/event/37156.html

 

茨木市の適塩GOプロジェクトは、このように産×官×学協働で取り組むことで、保健医療課が従来アプローチできないような「若い世代」や「働く世代」にも積極的にアプローチしている。

 

この適塩GOプロジェクトの取組は、大阪府健康づくりアワード2017も受賞している。

 

※  大阪府健康づくりアワードについては以下大阪府ホームページ参照

http://www.pref.osaka.lg.jp/kenkozukuri/award/index.html

 

 

5.健康づくり出前講座(64歳以下)

 

さらに、茨木市では働く世代を含めた市民全体へのアプローチを行うために、「健康づくり出前講座」を行っている。子どもから働く世代を対象にして、保護者会、サークルなどの10人以上の市民団体からの要請に応じて、保健師・栄養士・歯科衛生士などが地域に出向いて、健康づくりに役立つ食生活や、ストレスとの付き合い方、健診結果の見方、歯の健康について啓発する講座であり、これまでに例えば職域では、ケアマネ事業所や自動車学校、建設系の企業等を対象に出前講座を行ってきた。

 

※ 健康づくり出前講座については以下茨木市ホームページ参照

http://www.city.ibaraki.osaka.jp/kikou/kenkof/hokeniryoka/menu/jigyo/kenkyoso/shokukoza.html

 

「適塩GOプロジェクト」にしても「健康づくり出前講座」にしても、保健医療センターの中で保健師・栄養士等が待っているのではなく、人が集まるところに積極的に出かけて行って、健康づくりを呼びかけていこうという茨木市の考え方を感じ取ることができる。

 

 

6.健康フェスタ

 

茨木市・茨木市医師会・茨木市歯科医師会・茨木市薬剤師会主催の「健康フェスタ」が年1回開催され、血圧・血糖値・血流・骨密度測定、認知症相談・パーキンソン相談 ・歯科健診、ブラッシング指導、口臭測定、 医師・薬剤師のお仕事体験(小中学生)、健康クイズ、肺年齢測定 、心肺蘇生法・AED 実演、その他様々なイベントが開催されている。

 

※ 健康フェスタについては以下茨木市ホームページ参照

http://www.city.ibaraki.osaka.jp/ibarakidayori/2017/9gatsu/39100.html

 

なお2015年以降、健康フェスタは「立命館いばらきフューチャープラザ」で開催されているが、この「立命館いばらきフューチャープラザ」は立命館大学と茨木市との公私協力により立命館大学いばらきキャンパス内に整備された地域・社会連携のシンボルとなる施設である。こういった立命館大学と茨木市との連携から、立命館大学いばらきキャンパス内の食堂で、毎年6月と11月に学生生協が健康に関する啓発イベントを実施する際に共同で取り組むといった、新たな取組も生まれている。

 

 

保健医療センターを訪れる人が「また来たい」と思うような対応を心掛け、また地域の企業や大学とも積極的に連携して啓発イベントを行い、さらに人が集まるところに保健師等が積極的に出向き啓発を行っている。このように、常に、「市民全体とのつながりをつくる」ことを目指している点が、茨木市の行っている健康づくりの特徴と言えるかも知れない。

 

以上