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1.福島県について
福島県は北海道、岩手県に次ぐ全国で3番目に広い面積を誇る県である。
地形・気候・交通・歴史などの面から、越後山脈と奥羽山脈に挟まれた日本海側内陸の豊かな大自然と会津藩士ゆかりの名所旧跡が点在する「会津」、奥羽山脈と阿武隈高地に挟まれ美しい花々とみずみずしい果実がいっぱいの太平洋側内陸の「中通り」、阿武隈高地と太平洋に挟まれた雄大な景観を眺める太平洋側沿岸の「浜通り」の3地域に分けられ、雄大な自然とその景観、豊かな農水産物、そして歴史ある建造物があり、都心からのアクセスもよいことから観光の魅力が満載な県である。
(写真出所:福島県観光情報サイトーふくしまの旅― http://tif.ne.jp/ )
2.震災と県民の健康への影響
2011年(平成23年)3月11日に起こった東日本大震災は福島県に大きな影響を与えた。
震災後、観光で福島を訪れる人の数が大きく減少し、一時的に県外へ住居を移す県民もいた。
県内外からの支援・応援も受け、県民一体となって復興に取り組んだ結果、現在ではようやく、少しずつ観光客も戻り、県外に一時的に住居を移転した人も戻ってきている。
一方で、震災は県民の健康状態にも大きな影響を与えることになった。
下図は、福島県民平均のメタボリックシンドローム該当者割合を全国平均と比較した図である。
福島県はもともと全国平均と比べて少しメタボリックシンドローム該当者割合が高かったが、震災後はさらに上昇しており、減少した全国平均と比較すると平成25年度には2ポイント以上もの開きが発生してしまっている。
実際に、福島県では、東日本大震災などが影響し、県民の生活環境が変化したことにより、運動量や活動量の低下、野菜摂取量の減少、調理済み食品や菓子利用の購入金額の増加や間食回数の増加などが、データとして表れており、上記のメタボリックシンドローム該当者割合の増加は、これらが背景にあると思われる。
さらに、福島県では、これらの「生活環境の変化」の影響も含めて、要介護高齢者の増加、こどもの肥満児出現率の上昇、生活習慣病(心疾患や脳梗塞、脳血管疾患、脳梗塞)による死亡率の上昇、健康寿命の全国順位の低下、子供のむし歯有病率の上昇なども見られるようになっている。
3.福島県の取り組み「ふくしま健民パスポート事業」
そこで、福島県では、県民一人一人が健康で長生きできる「全国に誇れる健康長寿県」となるよう、新たな視点から県民の健康意識の改革・向上を目的とした「ふくしま【健】民パスポート事業」を開始した。
「ふくしま【健】民パスポート事業」は、健康増進に取り組んだ県民へ「ふくしま健民カード」の発行などインセンティブの付与を行う個人へのアプローチ と社会(環境)を巻き込んだアプローチの両方を行うことで、県民の望ましい生活習慣確立への行動変容を実現することを目指している。
「ふくしま健民カード」は健康づくりを応援するカードであり、県内のグルメ・ビューティ・ショッピング・レジャーなど様々な協力店を利用する時に「ふくしま健民カード」を提示することで、割引などお得な特典を受けることができる。特典は福島県内900以上の協力店(2016年7月現在)で受けることができ、現在増加している。
「ふくしま健民カード」の入手方法については、現在、次の2つの方法がある。
1)市町村との連携実施
連携実施市町村の健康づくりメニューへ参加することで「ふくしま健民カード」を入手することができる。平成27年度に、モデル的に二本松市、西会津町、新地町の県内3市町のみで行い、平成28年度には、新たに22市町村が加わり、連携実施をしている。
福島県では最終的には全市町村がこの事業に参加することを目指している。
「ふくしま健民カード」を全自治体に普及させるためには、県全域に協力店舗が拡大していくことが必要であり、福島県としては引き続き協力店の拡大に取り組んでいく。
2)健康アプリ利用
主に、市町村の健康づくりに参加できない働き盛り世代等の県民を対象として、いつでも、どこでも、気軽に健康づくりに参加してもらうために、平成28年度より新規に健康アプリ事業を開始した。
県レベルでは、全国で始めての取り組みである。
アプリを通じて、自己の健康への気づきのきっかとなり、ひいては県全体における健康づくり実践者の底上げにつながるように、県民一人一人の健康リテラシーの向上に寄与していく。
さらには、個人単位だけでなく、各保険者の職域単位での参加を目指すものであり、職域における健康経営の一つのツールとしての活用も目指している。
次項で、詳しくこの健康アプリ「ふくしま健民アプリ」を紹介する。
4.ふくしま健民アプリ
「ふくしま健民アプリ」とは、日々の歩数や健康に関する質問への回答することでポイント換算できるスマートフォンアプリである。
一定の基準ポイントに達成すると「ふくしま健民カード」が画面上で表示され県内の協力店への提示で特典を受けることができるようになっている。
市町村との連携実施による方法では、役場に行って手続きが必要となり、健康増進への意欲が高い人でなければなかなか参加しない。平成27年度モデル的に実施した結果から60歳代から70歳代の参加者がおおく、特に予防が大事な働き世代は役場に行く時間がなかなか取れないことなどから、参加者が少なかった。
その点アプリであれば、行政機関に行かなくても、いつでも簡単にダウンロードすることができ、毎日スマートフォンの機能を通じて健康増進の取り組みを確認することができ、その結果ポイントがたまれば画面上にインセンティブとして「ふくしま健民カード」を表示することができる。
1) アプリのダウンロード
アプリはiPhoneおよびAndroid対応機種で誰でも、無料でダウンロードして使用することができる。
2)登録
ダウンロード後 登録画面が表示され、市町村、性別、年齢を選択し、キャラクターを設定する。キャラクターは福島県のキャラクター「キビタン」をはじめ、参加市町村のご当地キャラクターから選択できる。最後にニックネームを入力するだけで使用を開始することができる。
3)歩数の計測とポイントの獲得
アプリの基本機能は『歩数の計測』である。このアプリはスマートフォンにもともと備わっている歩数計測機能を使用しているためわざわざ入力する必要はなく、スマートフォン端末を持ち歩いているだけで自動的に歩数を計測することができる。
毎日の歩数と累計の歩数が表示される。さらに、その日ログインした人数と、その中でのランキングが日別に表示されるようになっており、ランキングは市町村別や年代別などで表示することができる。
歩数に応じてポイントが表示される。100歩で1ポイント獲得でき、1日最大80ポイント(8000歩以上歩いても80ポイント以上は付与されない)獲得できる。
歩数以外にも、毎日アプリを起動すると、1日5ポイント、「日めくり健康チェック」で毎日の健康をチェックすると1日15ポイント付与される。「日めくり健康チェックでは「歩くことは好きですか?」といった毎日異なる簡単な質問が表示されて、それに回答するとそれだけで15ポイント獲得できるという仕組みである。
8000歩以上歩いた場合、最大で1日100ポイント獲得できるようになっている。
4)基準ポイントの達成による健民カードの獲得
ポイントが3000ポイントになると、「ふくしま健民カード」(スマートフォン版)が表示される。1日最大100ポイント獲得のため、毎日100ポイント獲得し続けると1か月で下の「ノーマルカード」を獲得することができる。
累計で3000ポイント達成すると達成した旨表示され、アプリ上から申請すると画面上に表示できる「ふくしま健民カード」が入手できる。
ノーマルカード発行後も、基準達成でランクアップし、その都度、シルバー、ゴールド等のカードが表示される。
5)チャレンジ企画機能を活用したポイント獲得とダブルチャンス
さらに福島県では、協力企業や各市町村、団体等による歩数計を使用した特別ミッションやイベントへの参加などのミッションをユーザーに配信しており、各ミッションを達成すると、日々のポイントに加えてミッション達成ポイントを獲得することができる。
例えばミッションには次のようなものがある。
・福島県内で開催される様々な県民運動や健康づくり事業、ボランティア等への参加
・「6月11日~6月30日までの間に、7日間連続で8,000歩こう」のような目標歩数を達成
・強化月間に献血をしよう
など
参加型ミッションでは、県や民間など様々な健康に関する事業やイベントに参加することで、ポイントが獲得できる仕組みである。
会場に予め設置された、ポイントが付与された二次元コードをふくしま健民アプリでスキャンするだけで、日々のポイントとは別に、新たに追加ポイントを獲得することができる。
この仕組みでは、県民が行政だけではなく、民間等の様々な企業等の健康づくり事業・イベントへの参加に加え、自分の地域以外にも参加することが可能になる。そうすることで、県民の様々な地域への移動が生まれ、地域の活性化や地域間交流等が見込まれる。
現在、協力企業として、以下の企業が参画しており、それぞれの企業の協力で、様々なインセンティブが付与されている。
これらの協力企業による特別ミッションでは、ミッション達成後、ダブルチャンスで賞品等が数量限定で提供される。
例えば、大塚製薬のミッションでは、「7月~8月の間で4000歩を5日間続けて達成しましょう」というものがあり、まず、ミッションを達成すると200ポイント付与され、さらにダブルチャンスが表示される。そして、画面上から申し込むと抽選で40名に大塚製薬の詰め合わせがもらえる、といったものがある。
協力企業の特別ミッションについては、応募・抽選形式ではなく、協力企業から提供いただいた商品を、直接コンビニの店頭で引き換えることが出来るシステムの構築も視野に入れ、現在、関係機関と調整を継続するとともに、県民がより健康に興味をもってもらうため、今後、多種多様なジャンルの協力企業を増やしていきたいと考えている。
6)その他「ふくしま県民アプリ」内の主な機能
①健康づくり情報の発信機能
県や市町村、保険者(企業)の健康づくり事業の情報に加え、健康ひとことメモ(豆知識)など、県民に役立つ健康情報を発信できる。
②個人ランキング
ログインした日の参加者の中でのランキングが表示される。
③キャラ競争
参加者が選択しているご当地キャラクター毎のランキングが表示される。
④グラフ表示
毎日の歩数や消費エネルギーがグラフで記録できる。
5.「ふくしま健民アプリ」を活用した今後の取り組み
住民や従業員への具体的な健康増進の取り組みに関しては、市町村や企業の健保などの保険者の役割であり、健康経営の一つのツールとして、福島県としてはこのアプリをうまく活用してもらうことができればと思っている。
また、参加型ミッションでは、福島県内で開催される様々な健康に関するイベントに参加すると、二次元コードがおいてあり、その二次元コードにかざすとポイントがたまるといった仕組みを活用し、イベントへの参加を促すことで、県民の健康に対する関心を高め、健康増進への取り組みのきっかけづくりなればと考えている。
市町村との連携実施による「ふくしま健民カード」(紙ベース)の発行は、自分が住む自治体が参加してなければ「ふくしま健民カード」を入手できないが、アプリの場合は、各市町村の参加の有無にかかわらず、健康づくりに取り組めば、「ふくしま健民カード」が入手でき、だれでも協力店で活用することができる。
「ふくしま健民アプリ」は、県外の方もダウンロードでき、ポイントをためて、カードを入手することが可能となっている。
画面上に表示される「ふくしま健民カード」を福島県に観光に来た際に、協力店で使っていただくということも出来、観光の呼び込みの一つになるのではと考えている。
スマート・ライフ・ステイのような県外から健康増進のために人を呼び込むような魅力ある取り組みにもつながっていけば理想である。
インセンティブの中身や仕掛けが充実していけば、本来取り組まなければならない人の参画意識も高まり、また一人で取り組むのではなく、職場や家族や仲間等で取り組むとまた効果が高まると考えている。
今後、アプリでは、職域内や仲間内でのランキング(グループ分け)機能や、若い世代から健康意識を高めることは重要であり、高校生等と意見交換を行いながら、アプリの魅力を高めていく予定である。
県では、長野県や静岡県のような、住民にとって健康増進が当たり前というような県になることを目指し、各職域や関係機関との連携を取りながら、健康増進への気運をムーブメントとして盛り上げようと取り組んでいる。
『「震災」を経験しても、福島県民はこんなに健康で長生きだよ』ということを全国に発信し、これまで以上に、福島県の魅力を高めたいと考えている。
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以上