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健康経営の市場規模をどのように考えるべきか?

POSTED : 2018.6.27

 

 

今、注目されている健康経営。

 

その市場規模はこれから10兆円規模になるといわれています。

 

団塊ジュニア世代が退職を迎え始める2035年までにヘルスケア産業が30兆円を大きく超えるといわれていることを考えると、健康経営の市場規模がそれくらいあってもおかしくはないかと思います。

 

また、平成28年度国民医療費の概況によると、国民医療費の金額は42兆3,644億円、GDPに対する比率として10.91%となっていることを考えると、今かかっている国民医療費の25%くらいが健康経営への投資に回って、健康寿命の延伸につながって欲しいという気持ちもあります。

 

市場規模を考えるにあたって、「大体これくらい」という考え方は根拠にならないので、「健康経営の市場規模の考え方」を考えてみたいと思います。もしかしたらすでに政府機関やシンクタンクの方が算出した正式なものがあるかも知れませんが、そういった内容と異なっていた場合はお許しください。あくまで「考え方」としてご参考にしていただきたく存じます。

 

 

1.企業の福利厚生費から考える

 

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の「第58回福利厚生費調査結果報告」によると、調査対象1,653 社のうち、674 社の回答企業のデータから算出した、全産業平均での従業員一人あたりの年間福利厚生費は10万6,265円(法定福利費8万1,258円、法定外福利費2万5,007円)となっています。法定外福利費のうち、医療・健康が2,962円、文化・体育・レクリエーションが2,002円となっています。

 

健康経営は法定外福利費の医療・健康と、文化・体育・レクリエーションの両方を含むと思われるので、一人あたり4,964円、つまり約5,000円/年がすでに健康経営のために支出されているということができます。

 

経団連会員企業は日本のトップ企業ばかりなので、すべての企業に同じ数字が適用できるわけではありませんが、今後健康経営がすべての企業に普及して、全企業が一人あたり5,000円/年を健康経営のために支出すると考えてみたいと思います。

 

平成30年4月度の労働力調査(総務省統計局)によると、わが国の就業者は全体で6億6710万人。自営業者や家族従事者を除いた雇用者では5億9160万人となっています。5憶9160万人に対して、一人あたり5,000円が健康経営のために支出されると考えると、その規模は、2兆9,580億円、つまり約3兆円となります。

 

今、大企業が行っている健康経営への投資をすべての企業が行うようになると、市場規模は上記の通り約3兆円。大企業も中小希望もさらに健康経営への投資を増やすことになればその市場規模は何倍にもなります。一人あたり5000円以上、健康経営のために投資している企業も多いと思います。健康経営がさらに盛り上げると、市場規模は10兆円を大きく超えることになると言えます。

 

 

2.企業業績から考える

 

一方で、一人当たり平均5,000円/年の健康投資はあくまで結果論であって、実際に企業は投資を年間予算に対して総額で決めることが多いと思います。投資の金額は、企業の規模や業績によって異なると言えます。

 

そこで、経済産業省の平成29年企業活動基本調査速報(平成28年度実績値/29,970社435,731事業所)のデータから見てみようと思います。

 

総資本の合計は726兆7,827億円となっています。かりに企業が資本の1%を健康経営への投資に回すと考えると、その規模は約7.3兆円となります。

 

同データでは、売上の合計は684兆311億億円、付加価値の合計は131兆6,436億円となっています。健康への投資はITや設備への投資と違って景気の変動に大きく左右されるものではないと思いますが、あくまで投資なので付加価値を計算の根拠としたく思います。付加価値の1%と考えると(国税と地方税を合わせた法人実効税率が20%超であることを考えると1%は少ないような気もしますが)その規模は約1.3兆円となります。

 

 

3.医療費から考える

 

今、わが国の医療費は保険料と公費負担によって約88%が担われてます。保険料のうち、事業主負担保険料の金額はすでに8兆7,299億円となっています(厚生労働省平成28年度国民医療費の概況)。高齢化、そして医療費の拡大とともに、今後事業主負担保険料の金額は増えていくことは明らかです。この事業主負担保険料の伸びを抑制するためにも、コラボヘルスや健康経営による被保険者・社員の健康増進の重要性はますます高まっていくと思われます。仮に、事業主保険負担保険料の1割分を健康経営への投資に回すということになった場合、約8,730億円。事業主負担保険料の今後の伸びの見込みからすると、決して大きい金額ではないと思われます。

 

同じく、厚生労働省平成28年度国民医療費の概況から、傷病別医科診療医療費を参照すると、循環器系の疾患は5兆9,818億円、呼吸器系の疾患は2兆2,230億円となっています。これらの疾患の多くは、生活習慣に起因しています。生活習慣の改善で、8兆円以上に該当する以下診療医療費の抑制につながるならば、やはりその1割相当くらいは、コラボヘルスや健康経営による被保険者・社員の健康増進のために支出に回されるべきであると言えます。

 

 

 

以上、健康経営の市場規模を3つの視点から考えてみました。本来市場規模を算出するにあたっては静的データだけでなく、企業へのヒアリングやアンケート調査などの動的データを根拠とする必要があり、上記はあくまで数字遊びに基づく希望的観測の域を出ないものではありますが、健康経営の市場規模10兆円という数字は、決して現実とは乖離していないと言えると思います。

 

我が国の医薬品市場規模は9.3兆円(2011年/厚生労働省医薬品産業ビジョン2013より)。世界第2位の医薬品市場で、その多くを輸入医薬品が占めています。産業構造を考えても、超高齢社会を迎えるわが国が、世界に先駆けて健康経営をきっかけとした予防産業を確立して、医薬品に過度に頼らない健康寿命延伸モデルを世界に発信する立場となった方が望ましいと言えます。

 

 

健康投資が拡大して、健康経営の実践による、win-win-winの連鎖が広がっていくことを、心より期待しております。

 

以上 日通システム