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健康経営の効果指標はどのように定めるべきか?

POSTED : 2018.5.31

 

 

1.「健康投資」と「収益向上」

 

健康経営は、企業の持続的成長を図る観点から従業員の健康に投資する経営手法のことです。従業員の健康が企業の成長にとって不可欠な資本であることを認識し、健康情報の提供や健康投資を促すしくみを構築することで生産性を高めて、企業の収益性向上を目指します。

つまり、「従業員の健康への投資のリターンは、従業員の健康増進だけでなく、企業の収益性向上である。」ということができます。

 

この「従業員の健康への投資」と「会社の収益向上」との関連性のエビデンスとしてよく言及されるのが、ジョンソン&ジョンソンの事例です。グループ企業世界250社、約11万4,000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算したところ、健康経営に対する投資1ドルに対して3ドル分の投資リターンがあったとされています。

 

そのリターンの内訳が、1)イメージアップ 2)リクルート効果 3)モチベーションの向上 4)医療コストの削減 5)生産性の向上となっています。

 

 

2.収益目標は健康経営の投資判断の効果指標になるか?

 

それでは、「これから健康経営に取り組もう」という企業は、その投資効果を検証するために、何を効果指標として定めるべきでしょうか?

 

例えば、「従業員の健康に100万円投資して、経常利益を300万円アップする」という効果指標を定めることは望ましいと言えるでしょうか?または、「従業員の健康に100万円投資して、イメージアップにつなげ、採用コストを300万円削減する」といった効果指標は望ましいでしょうか?

 

営業利益、経常利益といった収益の指標は、当然自社の営業努力、製品・サービスの競争力、コスト削減努力など様々な経営上の施策の結果として現れます。

したがって、健康経営による収益性向上の効果を、単年度の収益の増減をもって測定することは難しいと思われます。

同様に、「イメージアップ」や「モチベーションの向上」といったインビジブルな経営資源を「採用コストの削減」といった形で判断することも少し乱暴なように思われます。

 

 

3.目標として定める指標は細分化が必要

 

健康経営の効果指標を定めるためには、健康経営と直結するレベルまで、上記リターンの内訳の5つの項目を細分化する必要があります。

 

例えば、生産性の向上について言えば、もし、生産部門の単位時間当たりの生産量が1000だったのが、単位時間当たりの生産量が例えば1100になったならば、それは明らかに生産性が向上していると言うことができます。

もし年間を通じて単位労働時間あたりの生産量が向上したならば、製造原価における人件費率が高い企業ほど、収益に与える影響は大きいと言えます。

 

単位時間当たりの労働生産性を高めるための手法は、例えば、仕掛品在庫の削減、不良品発生率の低減、製造ラインの安定稼働(例えば機械の洗い替えによるロスの削減など)、工程間のスムーズな連携、ボトルネックの解消など、さらに細分化することができます。

部門間のコミュニケーションがよくなったり、作業の中でヒヤリ・ハットが低減したり、作業者のシフト変更の際の引継ぎがスムーズに行われたりすると、仕掛品在庫の削減、不良品発生率の低減、製造ラインの安定稼働、工程間のスムーズな連携、ボトルネックの解消のいずれにもプラスの影響を与えるはずです。 

そして、こういった部門間のコミュニケーションをよくしたり、ヒヤリハットを低減したりするためのすべての基盤となるのが従業員の「健康」であり、それを実現するための経営戦略が「健康経営」であるということができます。

 

同様にイメージアップ、リクルート効果、モチベーション向上、医療費削減等も、それぞれ細分化することができます。

イメージアップには、企業ブランド価値を高めるための社外向けの活動や、働いている社員が自社を誇りに思うような社内向けの活動などもありますし、企業ブランド価値を高めるための活動もさらに、広告宣伝、社会貢献活動、認証を受けるなどに細分化できます。

経営資源の最大の要素が「ヒト」であり、基盤になるのが従業員の「健康」である以上、いずれの項目であっても、細分化されたどこかのレベルで必ず健康経営と直結するはずです。

 

 

4.目標設定を誤らない

 

例えば、イメージアップ→対外的な企業価値の向上→健康経営優良法人の認定といった形で、まずは健康経営優良法人認定を目標とし、そこから企業としてのイメージアップを目指し、健康経営優良法人の認定を受けるかどうかを健康経営実践の上での効果指標とする場合もあるかと思います。

ただし、こういった「見えるところ」からの目標設定には落とし穴があります。健康経営優良法人の認定を受けることが手段ではなく、いつの間にか目的となってしまうと、それ以上の効果にはつながりません。

 

重要なのは、自社の経営上の目標からスタートすることです。

 

例えば、生産性の向上を目標とした場合、それを実現するための課題が高い不良率だったとします。健康経営によってその不良率の低減を行なおうという企業にとってのロジックの一例として、生産性の向上→不良率の低減→社員によるダブルチェック体制→コミュニケーションの向上といった形で、まずは「コミュニケーションの向上」を一つの目標として定めることができます。

 

近年ではコミュニケーションの量を測定するためのセンサーも開発されているのでそういったものを使うことでコミュニケーションの量を数値化するという方法もあります、ストレスチェックの集団分析から得られる「周囲のサポート」の項目を用いてコミュニケーションの質を数値化するという方法もあると思います。

 

コミュニケーション向上のために、部門対抗の運動会を実施したり、レクリエーションを行なったりしている企業がありますが、こういった企業は、しっかりと目標を定め、かつ効果指標を定めて健康経営を実践されている代表的な事例であると言うことができます。

 

 

5.自社の強み・課題を知ることが重要

 

このように、健康経営の効果指標は、各企業の現状、そして目指す姿に応じて千差万別です。組織が違えば、目指す姿は異なります。健康経営はすべての基盤となる経営戦略であるため、本来は企業毎に健康経営の効果指標はすべて異なるべきであるとも言えます。

現状を把握している企業程、細分化された具体的な効果指標を定めることができているはずです。まずは、自社の強み・課題を把握して、強みをさらに伸ばし、課題を解決するために、自社が必要とする目標を定め、その目標に応じた効果指標を定めることが重要であると言えます。

 

以上、日通システム