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自治体・国保の取組事例

習志野市 健康なまち習志野計画

POSTED : 2017.6.23

 

 

1.習志野市について

 

 習志野市は千葉県の北西部に位置し、東京からほぼ30キロメートル圏内にある、総面積20.97平方キロメートルのコンパクトな市である。東は千葉市、西は船橋市、北は八千代市に接し、南は東京湾に面している。市内には、JR線が2駅、京成線が4駅、新京成線1駅の計7駅があり、都心へのアクセスが良く、ベッドタウンとしての性格を持つ。

 

 「習志野」という名称は、明治天皇が命名したものである。明治6(1873)年4月、明治天皇を迎えて行われた陸軍大演習の際、全体指揮をとった篠原陸軍少将のめざましい活躍をたたえ、「篠原を見習うように」とのお言葉があり、このことから「見習篠原」が「見習志野原」になり、習志野原になったという説がある。

 

 習志野市は、騎兵連隊・鉄道連隊が置かれるなど、軍郷として発展してきた。現在、そうした軍用地の跡は病院や学校に建て替えられ、軍隊のまちから『文教住宅都市』へと生まれ変わっている。

 

 習志野市の人口は、平成29年4月1日現在、171,970人となっている。将来人口推計において、総人口は平成31(2019)年にピークを迎え、その後、減少に転じる見込みである。一方、高齢者人口は増加傾向で、平成15(2003)年に14.2%であった高齢化率は、平成25(2013)年に21.2%となっており、今後、平成37(2025)年には23.4%まで上昇することが予測されている。

 

2.「習志野市健康なまちづくり条例」と「健康なまち習志野計画」

 

 習志野市は平成25年4月1日に「(通称)習志野市健康なまちづくり条例」を施行した。この条例は、市民一人ひとりの健康を、個人の責任とするのではなく、地域社会全体で支え、守るために必要な社会環境を整備していこうという考えの下、市・市民・市民活動団体・事業者及び健康づくり関係者が連携・協働して取り組むことを目的として、それぞれの責務を定めた理念条例である。

 

(資料出所:「習志野市健康なまちづくり条例」リーフレットより)

 

 この「健康なまちづくり条例」に基づき、習志野市では、平成27~31年度にかけて実施する「健康なまち習志野計画」を策定している。

 

 条例に定めているとおり、市や市民だけでなく、事業者を含めたすべての人が「健康なまちづくり」の当事者である。計画では、市、市民、市民活動団体、事業者及び健康づくり関係者が、連携及び協働して推進するために、それぞれの役割を細かく定めている。

 

◆市の役割

 

・長期計画やその他各種施策に関する計画の策定・推進に当たっては、「市民の主体的な健康づくり」と「地域社会全体で個人の健康を支え守る社会環境の整備」を方向性として踏まえ、実施します。

・健康なまちづくりに関係する分野は、保健福祉分野以外にも、都市整備分野や環境分野、経済分野、教育分野など多岐にわたることから、庁内の関係部・課が連携しながら一体となって推進します。

 

◆市民の役割・できること

 

健康は、個人の価値観に基づき、一人ひとりが主体的に取り組むことによって実現されます。健康なまちづくりに対する理解を深め、健康的な生活習慣の確立に取り組む等、個人及び家族の状況に応じた健康づくりを積極的に行いましょう。

 

◆市民活動団体の役割・できること

 

活動を楽しみながら継続し、継続的な活動を通じて健康なまりづくりへ寄与するように努めましょう。

・体を動かす習慣づくり等のイベント・教室の開催

・団体活動を通じた社会参加や仲間づくり

・安心・安全で快適なまちづくり など

 

◆事業者の役割・できること

 

労働安全衛生法に基づき快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通して、職場における従業員の健康を確保することが必要です。また、自らが行う健康なまちづくりに関する活動以外にも協力するよう努めましょう。

・従業員が気軽に健康相談を受けられる体制の整備

・定期的な職場の就業環境や人間関係への配慮

・従業員が地域活動やボランティア活動に参加しやすいよう休暇制度を設ける等の支援 など

 

◆健康づくり関係者の役割・できること

 

市民が自らの体力や体調に適した健康づくりに取り組むことができるように支援していくことが必要です。また自らが行う健康なまちづくりに関する活動以外にも協力するように努めましょう。

・健康相談の推進や市民の健康や医療に関する知識・理解の向上に向けた取り組み

・セミナー開催やポスター等での心の健康や命の大切さに関する情報提供・啓発活動

・地域におけるリーダー育成のための技術支援(人材・教材・情報等)への協力 など 

 

(資料出所:「健康なまち習志野計画(概要版)」)

 

以下、習志野市が健康なまちづくりに向けて実施している施策の一部をご紹介する。

 

1)習志野市健康づくり推進協議会

 

 「習志野市健康づくり推進協議会」は、市民のボランティアである「健康づくり推進員」で構成される組織である。推進員は元々、厚生労働省の定める栄養改善推進員として委嘱していたが、平成16年に委嘱を終了し、現在は市民自らが取り組む登録制のボランティアとして、栄養・運動・休養を含めた「健康づくり」に取り組んでいる。

 

 ボランティアといっても市民の健康づくりの一端を担うことになるため、講座を受けて初めて登録できるという制度になっており、平成29年4月現在、31名の健康づくり推進員が登録されている。

 

 現在、健康づくり推進協議会では、ウォーキング(習志野発見ウオーク)とヘルシーライフ料理教室を行っている。

 

 ウォーキングは、年9回、「健康なまち歩きマップ(全12コース)」を基に実施されている。毎回、130名前後の方が参加する。コースにもよるが、新規の参加者は20~30名程度で、毎回必ず参加する常連も多い。130名が一斉に歩くと大所帯になるため、人数が多くなってからは、グループを作ってグループごとに歩くようにしている。

 

 

 

 健康づくり推進協議会は、このように「市民によって健康づくりを発信し、市民が自発的に参加する」という仕組みとして成り立っているが、今後、この取り組みをどのように発展させていくかということが一つの課題である。現状として、推進員も参加者も高齢の方が多く、働き世代を含めた若い人にとっても魅力のある内容とするためにはどうしたらよいか、検討を重ねている。

 

2)ならしの健康マイレージ

 

 習志野市は、平成27年1月、健康的な生活習慣のきっかけをつくり、その継続と定着を後押しするインセンティブ施策として、「ならしの健康マイレージ」を始めた。

 

 「ならしの健康マイレージ」では、3か月の間に以下の2つの条件を達成すると、「健康きらっとナラシド♪カード」が交付される。

 

■条件1 イベントポイントを50ポイント以上獲得

 

 習志野市が主催するイベントに参加すると、会場でシールやスタンプが入手でき、それがイベントポイントとなる。市のイベントでなくても、参加したことが分かるものを後日提示すれば、ポイントの獲得が可能。

 

 また、各種健康診査、人間ドックなどを受診した際に獲得できるポイントは、通常の倍、20ポイントとなっている。

 

 

■条件2 セルフポイントを50ポイント以上獲得

 

 普段の生活の中で行う健康行動によって獲得できるのが「セルフポイント」。自己管理で1日1ポイントの記録をつける。行動の継続を重視しており、1か月の間に計10日以上、セルフポイントの対象となる健康行動をした場合は、10ポイントのボーナスポイントが獲得できる。小さなことからコツコツと取り組むことが肝心である。

 

 

 2つの条件を見事達成し、「健康きらっとナラシド♪カード」を入手すると、協力店で様々な特典(サービス)を受けることができる。

 

 提供する特典の内容は各店に任されており、例えば、飲食店でドリンクが1杯無料、美容・健康サービスが1回無料、買い物時の割引、教室への入会金無料などがある。

 

 

 現在のところ、日常的にサークル活動をしているなど、元々運動習慣のある参加者が多く、また年齢・地域的な偏りが見られるなど、様々な課題を抱えている。また、インセンティブの部分でも、協力店の数はもちろん、地域の分布や大規模店の参画、利用実績の把握など、まだまだ改善すべき点が多いと感じている。

 

 手続き上も、「わざわざ市役所まで来て申請する」という手間が、参加へのハードルを上げる一因になっているとも感じており、今後、システム面を含めた改善を図っていく予定。

 

3)こども健康大学

 

 平成27年度より、市と協定を締結している順天堂大学と連携し、「こども健康大学」を“開校”している。これは、専門家による指導や大学施設の利用等を通じ、健康づくりの大切さや正しい生活習慣を学び、身体を動かすことの楽しさを知るための、小学校高学年向けプログラムである。

 

・専門家による指導、大学施設の利用等、専門性の高い体験を提供する。

 

・トップレベルの知識や技術に触れるとともに、「走る」「跳ぶ」「投げる」といった基本的動作のコツを学び、健康づくりの大切さや身体を動かすことの楽しさを知ってもらうことにより、参加児童及び家族の生活習慣病予防を図る。

 

・他校児童を始めとした他者とのふれあいを通して、参加児童のコミュニケーション能力の向上と社会性の発達を図る。

 

 昨年度までは、1日目は市内でオリエンテーションや栄養教室、2・3日目は順天堂大学(さくらキャンパス)でスポーツ教室や施設見学という、1コース×3日間で実施してきた。

 

 今年度は、新たにアメリカンフットボールの強豪「オービックシーガルズ」の協力を得て、2コース×2日間の日程で実施する予定である。

 

4)ラジオ体操DE健康タウンinならしの ~正しいラジオ体操~

 

 習志野市は、平成27年度に(一財)簡易保険加入者協会より「ラジオ体操DE健康タウン構想の推進モデル自治体」として指定を受けており、ラジオ体操による健康づくりにも取り組んでいる。

 

 指定自治体の特典として、年に2回、テレビでお馴染みの講師・アシスタントが市内の会場を訪れ、ラジオ体操やみんなの体操の指導が行われている。老人クラブや教職員に限定して開催することもあるが、基本的には誰でも申込み可能。市外在住者でも申し込めるので、家族や友人を誘っての参加もできる。申込みは先着順で、毎回多くの申込みがあるため、参加希望者は早めに申し込みたい。

 

 市では、できるだけ多くの人、幅広い年代に参加してもらうため、市教育委員会や各種団体と連携・協力しながら取り組みを進めている。

 

3.現在の課題と小・中学校での健康教育

 

 習志野市では、「あかちゃんから高齢者まで健康づくりをサポート」するために、ぞれぞれの年代に応じて次のような事業を行っている。

 

 

 特に働き世代への取り組みは、一つの課題である。実際の問題として、働き世代の人たちが集まって、何かの事業を実施するということは時間的に難しい。

 

 そこで、習志野市では、小・中学生に対して行っている「生活習慣病予防健康教育」を、保護者に対する啓発の機会としている。この「生活習慣病予防健康教育」は、子どもの頃から生活習慣病を予防する習慣を身につけることを目的に、市教育委員会と連携して小学校、中学校の保健体育や総合授業(総合的な学習の時間)で教育を行っているものである。その中で、子どもが健康宣言(「毎日運動します」など)という形で、子どもなりの言葉にしたものを親に持って行ってもらい、今度は親からのメッセージ(「家族でがんばろう」など)をもらって来てもらうようにしている。

 

 子どもの視点で「健康」というテーマを親に伝えることで、健康の大切さや、生活習慣病にならないためにはどうすればいいのかという意識を持ってもらうだけでなく、子どもの健康や生活を通して、保護者が自らの生活を振り返り、健康を見直すきっかけとなることを狙っている。

 健康づくりを推進するためには、様々な領域で連携していくことが必要不可欠である。こうした取り組みにより、地域保健と学校保健との連携・協働を「見える化」できたことは成果であると言える。

 

 習志野市は、群馬県の上野村とも協定を結んでいる。これは、それぞれの地域住民の健康増進と地域の活性化を図ることを目的としたものである。また、平成29年4月には、前述のオービックシーガルズとも「相互連携・支援協力に関する協定」を締結した。

 

 「健康なまち習志野」を実現するために、今後も、様々な領域の人たちと連携・協力しながら取り組みを進めていく。

 

以上