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自治体・国保の取組事例

愛知県安城市 第2次健康日本21安城計画

POSTED : 2015.8.20

1.安城市の特徴

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安城市は愛知県のほぼ中央に位置する人口185,517人(平成27年8月1日時点)の都市である。市内には後に徳川家康を輩出した一族、安城松平家の居城であった安祥城址が残っている。安城市は明治時代に明治用水の開通により大規模な開墾が行われて農業が発展したことから、農業先進国のデンマークに譬えて「日本デンマーク」と呼ばれており、市内にはその歴史をもとに、自然と親しみ、花のある暮らしを提案する安城産業文化公園「デンパーク」がある。

農業が盛んな一方で、安城市には大企業の本社や工場が立地しており、工業地帯としての性格も持っている。名古屋への通勤30分以内という大都市勤務者のベッドタウンでありながら、工場地帯としての性格もあるため、人口の昼夜間比率は1を超えており、財政面でも全国市町村の中で常に上位に位置づけられている。こういった財政力の高さや恵まれた就業先に加えて、JR、名鉄、新幹線の駅が所在しているという交通面での利便性などの暮らしやすさもあって人口の増加は今も続いており、2035年までは人口は伸び続けるという試算も出ている。

ただし安城市も高齢化率は全国平均より低いといっても、平成27年8月時点で約19%となっており、年々高まっている。人口が増えるといっても年少人口と生産人口は減っており、高齢者が増えていくという構成は他の都市と同じである。そのため、市民の健康増進は市政において大変重要なテーマとなっている。

2.第2次健康日本21安城計画

安城市では、「からだいきいき こころのびのび」を合言葉に、国の「健康日本 21」 及び「健やか親子 21」を含むすべてのライフステージに応じた健康づくりの計画として、平成16年度に「健康日本 21 安城計画」 を策定し、推進してきた。 平成25年度に第1次計画の計画期間が終了することから、これまでの取り組みを評価し、健康をとりまく社会情勢などの変化を踏まえ、国の「健康日本 21(第2次)」、愛知県の「健康日本 21 あいち新計画」を受けて、今後 10 年間に取り組む健康づくりの 方針を示すため、「第2次健康日本 21 安城計画」を策定した。

第一次計画では個人を対象にして様々な健康施策を打ち出してきたが、個人で取り組むだけでなく、社会環境が個人の健康に影響を与える点にも着目し、団体や事業所、市といった個人をとりまく社会全体で、仲間づくりや社会参加を通して健康づくりに取り組める環境づくりが重要である。そこで、第二2次計画では、基本理念を「市民一人ひとりが生涯にわたり健康を自己管理していく力を高め、自らの健康づくりを継続して実践することを目指します。あわせて、社会全体で相互に支え合いながら健康づくりを実践できる環境を整えていきます。」と定めた。Social Capitalという言葉にもあるように、人やハードなど全ての社会的資源で個人の健康を支えていくという方針である。

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図1.『「めざすべき姿」のイメージ』(第2次健康日本21安城計画第3章より抜粋)

この基本理念とめざすべき姿を踏まえ、第二2次計画では、『生活習慣を見直そう』『病気を予防しよう』『健康を社会で支えよう』の3つの「基本方針」の下、10 の「分類」と「目標」を定めている。

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図2.『計画の体系』(第2次健康日本21安城計画第3章より抜粋)

3.あんじょう健康マイレージ事業

安城市では愛知県の実施する「あいち健康マイレージ事業」と協働して実施する市民の自主的な健康づくりを応援する制度、「あんじょう健康マイレージ事業」を行っている。愛知県の「まいか」というカードを愛知県内に511店(平成27年8月10日時点)ある協力店で提示すると特典を得ることができるが、「まいか」を取得するための条件は各市町村で取り決めることになっている。安城市は今年から「あんじょう健康マイレージ事業」への取り組みをはじめ、健康トライ部門と健康アクション部門の二つの部門に挑戦して100ポイント貯めると「まいか」を取得できるようなプログラムを組んだ。

健康トライ部門には、個人目標として、健康にかかわる活動目標を自由にさだめそれを達成したら30ポイントもらえるものと、保健センターが定めた目標を達成したら40ポイントもらえるものの2種類がある。

健康アクション部門は健康診断、歯科検診、がん検診などを受けると所定のポイントが付与されたり、市の主催するウォーキングイベントや健康講座に参加するとポイントが付与されたりする。健康トライ部門は1か月継続するとポイント獲得できるため、個人目標と保健センターからの目標の両方を1か月間継続して達成すれば70ポイント獲得できる。あとは健康アクション部門で30ポイント以上獲得すれば、「まいか」を取得できることになる。

こういった健康へのインセンティブの制度は大手企業の場合は独自で構築することができるが中小企業にとっては難しい。そこで安城市は「あんじょう健康マイレージ事業」の対象者を在住者だけでなく在勤者にも拡大して、市内の企業にも活用してもらえるようにしている実際に「まいか」をうまく活用して健康経営に取り組んでいこうという市内企業の事例もある。

「まいか」の有効期限は1年なので、1年目の取得者も、2年目に再度プログラムにチャンジしないと「まいか」の有効期限が切れてしまうことになる。安城市としては毎年同じプログラムである必要はないと思っており、現在は健康トライ部門で定めたまたは定められた目標を1か月間継続することによりポイントを獲得できるが、例えばそれを2か月に伸ばして少しでも長く健康づくりに取り組んでもらうといったことも考えられる。「健康マイレージ事業」はまだ今年始めたばかりであるが、今後長期的な視点で取り組み、少しでも長く参加者に取り組んでもらえるような仕組みにしていきたいと考えている。

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図3.あいち健康づくり応援カード(出所:安城市ホームページより)

また、安城市では「健康マイレージ事業」を始めとした市の健康関連事業が企業にも認知されるように、商工会議所の発行しているメルマガに掲載したり、「安城ものづくりコンベンション」のような企業展に安城市健康推進課としてブースをだしたりしている。そのほか、広報やホームページでの告知をしたり、イベントでの告知を行ったりしている。働き盛り世代はなかなか行政からの情報を見ないために、体操教室などで告知もしている。今後、健康に関心が高い方から口コミ等で広がることも期待している。

4.安城市データヘルス推進事業

安城市は、健康や医療に関するデータを活用し、市民の健康状態や健康特性を把握するとともに、実効性のある保険事業に繋げるため、民間の健康保険組合等と共同で安城市データヘルス推進検討会を設置し、市民の健康増進と生活習慣病予防に取り組むことを発表した。検討会参加保険者は全国健康保険協会愛知支部、アイシン健康保険組合、デンソー健康保険組合など計8保険者であり、安城市の管理する国保のデータと併せると、安城市民の約75%の健康データを分析できることとなった。

安城市は「健幸都市」(健幸の「健」は「すこやか」、健幸の「幸」は「しあわせ」を表し、多くの方々が健康で幸せに暮らすことを願う造語)を目指している中で、まず市民の健康状態を知らなければ適切な施策は打てないだろうと考えた。とはいえ、安城市が把握できる情報は、国保の被保険者の情報のみであり、それでは高齢者に偏ってしまう。そこで、市民全体のデータを把握するためには若い世代のデータを集めなければならないところから、民間の健康保険組合等と共同して取り組むことになった。

民間の健康保険組合等と共同して健康に関するデータを集め、安城市独自に分析することにより、安城市の生産年齢の健康状態を把握することができる。例えば、高血圧や糖尿病の重症化になりそうな人がどれくらいいるか分かれば、市でも糖尿病予防の教室をやるといった施策を実施することができる。

安城市としては、こういったデータ分析による市民の健康状態を把握し、それに対する施策を行うことで「暮らしているだけで健康になれる都市」といった街づくりにつなげていきたいと考えている。例えば家に閉じこもるのではなく、外に出たくなる環境、外に出た後、自然と街を歩きたくなるような環境、そういったことが大事である。街づくりといったハード面にまで踏み込んで取り組むにはある程度財政力がなければできないことであり、財政的にゆとりのある今のうちに実施して、将来に残していきたいと考えている。

4.スマート・ウェルネス・シティにおける取組み

健やか幸せな社会、これこそが21世紀の都市に求められる最重要のテーマではないかと考える市町村長は増えてきており、「スマート・ウェルネス・シティ首長研究会」が結成された。現在「スマート・ウェルネス・シティ首長研究会」には63自治体の首長が参加しており、年数回、各自治体の首長が中心となって集まり研究会が開催されているが、安城市の市長もこの研究会に参加し、そこで学んだ情報や感じたことなどを安城市のホームページを通じて市民向けに発信したりしている。

さらに、今年、「スマート・ウェルネス・シティ首長研究会」とは全く別の組織として、筑波大学や民間企業が中心となって運営される「スマート・ウェルネス・コミュニティ協議会」が設立された。「スマート・ウェルネス・シティ首長研究会」が各自治体の首長によって構成され、民間企業が参画しているのに対して、「スマート・ウェルネス・コミュニティ協議会」は大学や民間企業が中心となって運営されており、まだ多くの自治体が参画しているわけではない。安城市としては、「スマート・ウェルネス・コミュニティ協議会」にも自治体として、かつ健康推進課として実務的に参加し、安城市の活動を発信するとともに、大学、民間企業や他の自治体の先進的な取り組みを取り入れていこうと考えている。

5.今後の取組み

安城市では、中心市街地にあった大きな病院の跡地の利用について、長年議論してきたが、その場所を活用して平成29年度に図書情報館をオープンさせるように現在準備をしている。この図書情報館を拠点として、イベントの開催や、思わず歩いてしまうまちづくりを実施し、中心市街地に再びにぎわいを作り出し、さらに、市民同士がつながりを持つきっかけづくりになればよいと考えている。また、図書情報館には、通常の図書館機能に加え、キッチンを設置する予定になっており、食に関する情報発信もできるようになっているなど、一般的な図書館とは違った機能を有する予定になっている。

安城市には、食生活を中心とした健康づくりを進めるボランティア活動を行うヘルスメイト(食生活改善推進員)がおり、市民に向けて講座や料理教室などを実施している、昨年、長年の活動が評価され、厚生労働大臣表彰を受賞した。このような市民活動をより活性化させ、社会全体で健康づくりの意識を高めていければと考えている。

個人の健康は個人だけでは守れないため、横のつながりを大切にして一緒に取り組むことが大事であり、行政や企業などが一緒に支援していくことが必要である。安城市は医師会、歯科医師会などとも連携がとれており、医療機関とも連携がとりやすい環境にある。また大企業とも連携がとれているので、行政が主体となっていろいろな横のつながりをつくっていける状況にある。その特性を生かして、様々な取り組みを行っていきたいと考えている。

健康に無関心な人に対して、どうやって健康増進に興味をもってもらうかが、今後の課題である。健康に関心をもってもらうための入口として「あんじょう健康マイレージ」を実施している。しかし、健康づくりより身近に感じ、継続してもらうための仕組みづくり、環境づくりが、今後取り組むべき重要なテーマであると考えている。以上