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自治体・国保の取組事例

山形県上山市 上山型温泉クアオルト事業

POSTED : 2016.5.7

 

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1.山形県上山市について

 

上山市は山形県の南東部に位置する人口約3万2千人の自治体であり、観光入込客数年間約70万人、宿泊客数29万人と毎年多くの観光客が訪れている。

 

開湯558年の歴史ある“かみのやま温泉”をはじめ、蔵王連峰の懐に抱かれ、城下町・温泉町・宿場町の三つの顔を併せ持つ全国でも珍しいまちであり、伝統あふれる歴史・文化的資源、果樹をはじめとする旬の食、四季折々に姿を変える自然環境など、豊富な地域資源も有している。また市内には、東北地方で唯一、文部科学省「ナショナルトレーニングセンター高地トレーニング強化拠点施設」に指定されている「蔵王坊平アスリートヴィレッジ」があり、陸上を中心に、スキー・バレー・ラグビー・ソフトボール・サッカーなどの幅広いスポーツに対応できる施設が充実している。

 

2.上山型温泉クアオルト事業

 

上山市では、市の主要施策として、上山型温泉クアオルト事業を推進している。「クアオルト」とは、ドイツ語で「高品質な長期滞在型の健康保養地、療養地」を意味し、上山型温泉クアオルト事業とは、先進ドイツにならい、全国に先駆けて、上山ならではの自然や温泉、食などの恵まれた地域資源を活かし、市民の健康増進と交流人口拡大による地域活性化を目的に、健康・観光・環境の三つを柱に“心と体がうるおうまち”を基本理念として、今後長い眼でみた、官民挙げて取り組む元気で魅力ある健康保養地づくりのことを指す。

健康保養地全景 

上山市がこの上山型温泉クアオルト事業をはじめたきっかけは、20年も前からドイツのドナウェッシンゲン市と友好都市として交流を深めてきたことに加え、市内では市民一人当たり医療費、高齢化率が山形県内でも高水準であったことから、本事業の導入により健康寿命延伸、さらには産業振興等にも幅広く普及することが期待できると判断したことである。

 

上山型温泉クアオルト事業では、主に以下の内容について取り組んでいる。

1)気候性地形療法を取り入れた医科学的根拠に基づくウォーキング

ドイツで治療として行われる運動療法の一つである気候性地形療法を活用し、頑張らないで楽しみながらウォーキングできるところが特徴である。特に、「冷気と風」、「太陽光線」等の気候要素を活用し、自身の体力にあった歩行スピード(目標心拍数160マイナス年齢)で歩くこと、また、体表面を冷たく保ちながら(主観的な温冷感覚で-1℃やや冷えると感じる状態で、体表面温度を約2℃下げる程度)歩くことで、通常の運動の2倍の効果を得ようとするものである。

 

アジア初・日本初でミュンヘン大学の認定を受けたウォーキングコースが市内に8コースあり、毎日ウォーキングに親しめる環境が整っており誰でも参加することができる。

主なプログラムは次の通り。

 

①毎日ウォーキング

申込不要(企画以外)の気軽なウォーキングメニュー。

日頃の運動不足解消や健康づくりをはじめたいという方におススメ。 上山の自然を満喫しながらも、しっかりとした運動効果を得る。 はじめての方でも安心。専任ガイド(蔵王テラポイト)が案内。

 

②暮色ウォーキング

旅行でいらした方に特におススメのメニュー。

チェックイン後の午後のひと時、自然を満喫。ふらりと散策を楽しむにはぴったり。

専任ガイド(蔵王テラポイト)と歩くツアー。 2人以上で当日午前10時まで申込み。

 

③早朝ウォーキング

旅館の主人の案内で宿泊客と市民が一緒に参加。

④オーダーメイドウォーキング

社内行事やPTA行事など団体、企業のイベントや健康づくりメニューなど、ご希望に応じて2時間~6時間のプログラムを作成。会場やお弁当の手配も可能。

 

⑤企業コラボウォーキング

企業様との共同企画による社員と市民が一緒に楽しむウォーキング。

豪華賞品が当たる抽選会があったり、おいしいグルメ企画があったりとウォーキングだけではないお楽しみが満載のイベント。

 

クアオルト健康ウォーキングは平成21年度に開始されたが、参加者は年々増加しており、

平成21年度  371人

平成22年度 3,109人

平成23年度 6,869人

平成24年度 7,483人

平成25年度10,502人

平成26年度12,867人

平成27年度13,794人

となっている

1-2ウォーキング 

 

1-1ウォーキング 

2)ウォーキング以外の取組

①旬産旬消にこだわった贅沢なヘルシー料理

クアオルト膳を5旅館・2店舗で提供。

自然に恵まれた山形の食の豊かさは全国でも指折り。上山では、そこにカロリーを抑えながらも贅沢で栄養バランスのとれた食事を提供。

・クアオルト弁当を4店舗で提供

地元産農産物を活用した体に優しいヘルシー弁当。

・上山産ワインを地元2ワイナリー・大手2酒類メーカーで提供

②環境に優しいまちづくり

・公用車等への電気自動車の導入

・旅館、公共施設等への充電器設置

・メガソーラー誘致

 

3.宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)試行事業

 

上山市は平成27年度に、東北地方で唯一、厚生労働省「宿泊型新保健指導(スマート・ライフ・ステイ)試行事業」に採択された。

スマート・ライフ・ステイ事業とは、特定保健指導対象者、糖尿病予備群等を対象に、旅館等の宿泊施設や地元の観光資源を活用し、運動や食生活の「体験型」の保健指導を実施することで、将来的な重症化予防、医療費適正化を目指すものである。

 

上山市では、地域内の他職種の連携によるコンソーシアム体制でこの事業を受入れた。「上山型温泉クアオルト事業」を柱にした運動・休養・栄養プログラム、地域資源を活用した観光プログラムを通じて、楽しみながら生活習慣の改善につながる“健康への気付きの旅”を提供した。

 

6ヶ月間、37人の参加者を支援した結果、平均体重-3.4kg、腹囲-3.9cmを実現した。

本事業を通じて、参加者は非日常という環境が参加者の表情と意欲を180度変えることができ、楽しさの中に生活習慣改善のコツを学ぶことができた。本事業終了後も参加者は継続的に実践しているということで、参加者自身の行動変容にもつなげることができた。

 

4.今後の取組

 

これらの取組が高く評価され、上山市は第4回ヘルスツーリズム大賞(平成24年3月)、第3回健康寿命を伸ばそう!アワード(平成26年11月)、第1回ジャパン・ツーリズム・アワード(平成27年9月)、第1回やまがた健康づくり大賞(平成27年11月)などを受賞してきた。

 

今後の取組としては、水中運動ができる温泉健康施設(テルメ)の建設するほか、医療機関や学術機関と連携した、総合的な健康プログラム提供体制の構築を目指すなど、予防から治療まで市民の総合的な健康づくりをさらに推進する。

 

また、長期滞在型の健康保養地としても、滞在メニューの充実や生活習慣病予防のための多様なプログラムの検討、ヘルスツーリズム品質評価プロジェクト、新たなヘルスケアビジネス創出にも取り組んでいる。

 

これから、今ある地域資源にさらに磨きをかけ、住む人訪れる人にとって魅力ある“小さくてもキラリと光るまち”として、人と地域を元気にする日本を代表する健康保養地を目指していく。

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