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自治体・国保の取組事例

「会社の元気は従業員の健康から」-東京都の取組-

POSTED : 2017.11.21

 

 

1 東京都健康推進プラン21(第二次)と健康づくりの取組

 

   東京都は平成25年3月に都民一人ひとりが主体的に取り組む健康づくりを、社会全体で支援し、総合的に推進することを目的として、「東京都健康推進プラン21(第二次)」 (計画期間:平成25年度から平成34年度まで)を策定した。総合目標として「健康寿命の延伸」「健康格差の縮小」を掲げ、3領域14分野にわたり目標を設定している。

 

 

   本プランでは都民と関係機関が主体的かつ積極的に健康づくりに取り組めるよう、都民と、推進主体である(1)区市町村、(2)学校等教育機関、(3)保健医療関係団体、(4)事業者・医療保険者、(5)NPO・企業等それぞれに期待される取組を具体的に示している。

 

   また、東京都の役割として、都民に直接働きかけるとともに推進主体の取組を支援し、連携を促進することで都民の健康づくりを推進する体制を整備するため、「普及啓発」「人材育成」「企業等への働きかけ」「推進主体の取組支援と連携強化」「区市町村の差の把握と取組の推進支援」に取り組むことを明示している。

 

(※詳細は『東京都健康推進プラン21(第二次)概要版』参照)

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/plan21/dainiji_plan.files/summary.pdf

(東京都福祉保健局ホームページのリンク)

 

   東京都では、プランの推進方策や推進主体の連携に関する検討を行うため、平成25年度に「東京都健康推進プラン21(第二次)推進会議」、「地域における健康づくり部会」及び「職域における健康づくり部会」を設置し、各部会のそれぞれで推進主体が連携して健康づくりに取り組んでいる。それぞれの部会は、学識者の方も委員として構成されている。

 

   平成28年度の委員の方の名簿は以下の通り。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/plan21/kako-data/suishinkaigi/kaisai_suishinkaigi/28_1st/pdf/28suishinkaigi1-shiryo3.pdf

(東京都福祉保健局ホームページのリンク)

 

2 「職域における健康づくり部会」

 

   「職域における健康づくり部会」は、東京大学政策ビジョン研究センター特任助教の古井祐司氏が部会長であり、協会けんぽ東京支部、東京労働局、東京地域産業保健総合支援センター、東京商工会議所、東京法人会連合会、東京都中小企業団体中央会といった関係機関、区市町の行政機関、東京都産業労働局で構成員されており、定期的に会議が開催されている。

 

    平成25年の発足当初は、まずはそれぞれの団体でどんな役割を果たすことができるか、又、連携方策の検討から始まったが、その後は東京都福祉保健局が主体となって部会と連携して様々な具体的な施策を進めてきた。以下、その一部を紹介させていただく。

 

(1)働き方とメタボの関係とは?

 

   平成26年10月に協会けんぽ東京支部の協力を得て、生活習慣病予防健診の結果について業種別分析を行った。その結果、メタボ該当者の割合について業種によって差があり、年代とともにその差も広がる傾向があることが分かった。

 

   また、生活習慣の問診の分析をするとメタボが増えている業種では、日常的な身体活動、朝食の欠食、喫煙率に差があることが分かった。そこで東京都福祉保健局は、働き方そのものを変えることは難しいが、それぞれの働き方に応じた健康づくりの取組の方策があるのではないかと考え、「働き方とメタボの関係とは?」というリーフレットを作成し、「職域における健康づくり部会」の関係機関を通じて都内の企業に配布した。

 

   リーフレットは協会けんぽ東京支部からの匿名データを東京都福祉保健局がグラフに加工し、どういう内容にすれば事業主の方に目につき、手に取ってもらえるかということを部会の中でも検討しながら作成したものであり、部会での共同作業であったと言える。

 

(資料出所:東京都ホームページ(クリックするとPDFが開きます))

 

   毎日デスクワークをしている人に対してならば、「社内の階段を使いましょう」という呼びかけも有効かも知れないが、日々外回りをしている人に同様の呼びかけをしても響かない。働き世代が生活習慣病予防や改善に取り組むためには、画一的なアプローチではなく、個々人の働き方に応じたアプローチの方法が重要になってくるのではないかと考え、東京都福祉保健局では、保険者との連携や朝礼の場での働きかけなど、組織から個々人に対して働きかけるようなアプローチをしてもらうよう、事業主の方に対して呼びかけるようにした。

 

 

(2)会社の元気は従業員の健康から!

 

   さらに継続して事業主の方に呼びかけを行うために、平成27年には都内の企業2社にインタビューした内容を掲載したリーフレットを作成し、配布した。

 

   インタビュー先の1社は夜間業務も必要となるビルメンテナンスの会社である。ある日、 夜勤明けの従業員の方がケガをするということがあり、社長がそのことに心を痛めて、夜間業務を外部委託にして勤務時間管理を徹底するとともに、地域産業保健センターの 産業医による健康相談・指導を実施した。その会社では夜間業務を外部委託にしたことにより経費が増えたものの、勤務のメリハリと従業員の意欲向上によって顧客の信頼が上昇し、新たな仕事の依頼が増え、結果として経費の上昇分を上回る売上の向上をもたらした。

 

   もう1社はタクシー会社である。タクシー運転手は座りっぱなしのためメタボ化する 従業員も多い。そこで、その会社では「健診結果どうですか?」という声かけと月1回 の従業員研修会で健診受診状況や入院からの復帰状況を報告するようにしたところ、従 業員同士で健康が話題になったり、お互いに声を掛け合ったりするようになった。こう いった地道な取組の結果、健診受診率と特定保健指導受診率が100%となり、体調を 崩す従業員も減少した。今では、この会社の平均勤続年数は同業種の全国平均の1.5 倍となっている。

 

   このリーフレットは前年と同様に関係団体を通じて配布をしたところ、地域産業保健 センター等からリーフレット追加配布の依頼が多数あった。このように、東京都福祉保健局としても部会と連携して都内企業に対してこういったPR活動を継続していくことの効果を少しずつ実感できようになってきている。

 

(資料出所:東京都福祉保健局ホームページ(クリックするとPDFが開きます))

 

(3)東京都職域健康づくり推進事業

 

   健康づくりが非常に重要だと認識していても、中小企業の場合は大企業のような投資はできない。

 

   また、具体的に何をすればよいか分からないという中小企業もあれば、中には頑張って取り組んでいるけどもなかなかうまくいかないという中小企業もある。東京都としては、すべての企業に対して介入して支援することは不可能だが、そういった悩みを抱えている中小企業に対し、自律的に健康づくりに取り組むための支援に向け、平成28年度に新規事業として「東京都職域健康づくり推進事業」を行った。

 

   本事業では、産業保健に詳しい保健師や栄養士等の専門職を派遣し、企業の健康づくりをサポートする他、取組企業同士が活動状況報告や情報交換を行う連絡会を事業の期間中に3回開催し、連絡会の中ではミニセミナーも実施した。

 

   事業での取組企業には、あらかじめ

・職場の状況に応じた従業員の健康づくりへの継続した取組

・職場の健康づくりに関するアンケート調査(取組の最初と最後を予定)

・取組状況や取組の効果が分かる情報の提供

の協力をお願いしており、募集の結果15社の企業が取組企業として参画した。

 

15社の取組企業には、事業の終了後も取組を独自に継続していっていただくととともに、他の企業が取り組む際の参考事例となるよう、東京都福祉保健局では、本年度、各取組企業の取組内容を事例集にまとめていくことも進めている。

 

(資料出所:東京都職域健康づくり推進事業取組企業募集案内リーフレットより)

 

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/syokuiki-kenkoudukuri/index.html

(東京都福祉保健局ホームページの東京都職域健康づくり推進事業ページのリンク)

 

(4)職場の健康づくり講演会

 

   平成26年度からは東京都福祉保健局が主催し、部会の関係団体が後援する形で「職場の健康づくり講演会」を開催している。昨年は順天堂大学医学部助教(当時)の渋谷克彦氏に基調講演をしていただき、東京大学政策ビジョン研究センター特任助教(当時)の古井祐司氏にパネルディスカッションのコーディネーターになっていただいて開催した。定員の200名を超える多数の参加者から申込みをいただき、満席となっての開催となった。

 

(資料出所:東京都福祉保健局ホームページ(クリックするとPDFが開きます))

 

3 働き盛り世代の健康づくりとケンコウデスカマン

 

   東京都の健康づくりの施策では、随所で東京都健康づくり推進キャラクター「ケンコウデスカマン」が登場し、「ちょっと実行、ずっと健康。」というキャッチフレーズとと もに、都民および都内企業への呼びかけを行っている。この「ケンコウデスカマン」は、東京都が健康づくりを進める上でキャラクターを創ろうということで企画提案を募ったところ、「ちょっと実行、ずっと健康。」というキャッチフレーズとともに提案を受けて採用されたキャラクターである。

 

   健康づくりの対象は全世代だが、特に働き盛り世代は時間がないため健康づくりに取り組んでもらうことが難しい。「ケンコウデスカマン」による「ちょっと実行、ずっと健康。」は、そんな働き盛り世代にも、負担感のない形で「この階段だけ毎日ちょっと登ってみよう」とか、「野菜から食べるのを習慣にしよう」とかちょっとの行動の変化を進めてもらうことを呼びかけるにあたって、ピタリと合致しているのではないかと思われた。

 

   東京都は日本全体の縮図みたいなところがあり、日本全体で抱えている健康の課題を同様に抱えている。それらの一つ一つの課題をないがしろにするつもりはないが、キャラクターの設定にあたっては「働き盛り世代」にいかに「ちょっと」実行してもらうかということを重視した。もちろんかわいいキャラクターなどで、女性にも受け入れられることも望ましいかも知れないが、東京都としてはまずは働き盛り世代の30代、40代の男性に受け入れやすそうなキャラクターとして「ケンコウデスカマン」を積極的に活用しようと考えた。「ケンコウデスカマン」は様々な世代を対象にした様々な健康づくりの取組に登場しており、「ちょっと実行、ずっと健康。」を都民および都内在勤者に対して呼びかけている。

 

 

4 都民の健康づくりに向けてその他の取組

 

   東京都では都民の健康づくりを目的として、上記の内容以外にも様々な取組をしているが、以下その代表的な取組の一部を紹介させていただく。

 

(1)とうきょう健康ステーション

 

   都民の健康づくりを支援するためのポータルサイトとして「とうきょう健康ステーシ ョン」を平成26年に開設した。この「とうきょう健康ステーション」は、都民の方々が健康づくりに興味を持った時に「ここに健康づくりに関する情報があるよ」という位 置づけになることを目的として、生活習慣をチェックできるコンテンツや、生活習慣病予防に関する情報などをたくさん掲載している。都の住民だけでなく、都内企業の担当 者にも見てもらって企業での健康づくりにあたっての参考にもしてもらいたいと思っている。

 

   また、「東京都職域健康づくり推進事業」の事例集も完成後はこのサイト上に掲載することを検討している。

 

   東京都として、企業および住民に対する健康づくりに関する情報発信の媒体として、「とうきょう健康ステーション」には今後も様々なコンテンツの記載を続けていく。

 

 

(2)ポータルサイト「TOKYO WALKING MAP」

 

   平成28年10月には、東京の魅力を再発見しながら楽しんでウォーキングをしていただくためのポータルサイト「TOKYO WALKING MAP」を開設した。本サイトには、都内の区市町村が健康づくりの視点を取り入れ作成したウォーキングマップとウォーキングを続けるコツなどのコンテンツを掲載しており、増加する海外からの旅行者等にも活用いただけるよう、英語での表示も可能となっている。また、スマートフォンにも対応しているほか、区市町村別、電車やバスの主要路線別及び所要時間別にウォーキングコースを選ぶことができる。

 

    「健康づくりのために動きましょう」ということよりも、「都民でも意外と知らない東京の魅力を発見しましょう」ということを前面に出して、「こんなきれいなところが東京都内にある」というコンテンツを発信していくこともコンセプトとしており、ウォーキングイベントを実施している会社にも使っていただくことができると考えている。例えば、ちょっといい季節になったら会社の周りで歩こうといった時に、このウォーキングマップを使っていただくことができれば、近くにこんなきれいな景色があるという発見にもつながると考えている。もちろん他県や海外からの旅行者にも活用していただくことが可能である。

 

   また、東京都では、2020年のオリンピック・パラリンピック推進とも関連して、 日常生活の中で体を動かすことも含めたスポーツ実施率を上げていこうという施策がある。「歩く」ということも日常生活で体を動かすことの一つであるので、この施策とも連携して、都全体で施策を実現し、次の世代へと継承していくことができればと考えているとのことである。

 

   まだまだ発展途上のサイトであるが、都の魅力を伝えるとともに、ウォーキングを通じて健康になってもらうためにこのサイトをより使いやすいサイトにしていく予定である。

 

 

以上

 

本記事および著作物の利用は東京都の承認を得ております(有効期限平成30年3月31日(土))

 

1)記事について

承認番号 29福保保健第423号(平成29年9月21日付)

 

2)著作物の利用について

承認番号 29福保保健第557号(平成29年11月15日付)