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川合真令医師(内視鏡による検査・治療)

POSTED : 2015.8.5

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柏厚生総合病院で、内視鏡による検査・治療に従事されている川合医師に医療現場で感じることをインタビューさせて頂きました。

 

 

日通システム:

内視鏡検査に来診される方はどのような方が多いですか?

 

 

川合医師:

様々な方が来られます。検診のみの方や「のどに違和感がある」とか、「食事が食べられなくなった」「体重が減る」とかそういった様々な症状をきっかけとして来診される方もいます。

検診で来診されて、「早期の胃がん」が見つかるという方も稀にいらっしゃいます。

 

 

日通システム:

内視鏡検査に来診されるのはどのような年代層の方が多いのでしょうか?

 

 

川合医師:

検診以外では60代以下の方は比較的少ない印象です。特に、働き盛りの40代、50代の方は、内視鏡検査に来られる方の中での比率としてはやや低い印象です。

でも、本当はこういった働き世代の方こそ、違和感があればすぐに内視鏡検査すべきなのです。若い方は腫瘍が出来ると、進行が早く、かなり進行してから内視鏡検査される方もいて、「なぜもっと早く検査されなかったのか」と思ったことが、何度もあります。

癌は早く見つければ、内視鏡の治療だけで取れてしまう例も多くあります。悪性腫瘍は、胃にしても大腸にしても早期発見が第一です。少しでも異常を感じたら、すぐに内視鏡検査を行うことが、最も効果的です。働き盛りの方は忙しく、仕事を休めないことも分かりますが、内視鏡検査は半日で終わるので、40代など節目の時に、一度でも受けておいていただきたく思っています。

一度でも内視鏡を受けておけば、次どれくらいの間隔をあけて受診すればよいかアドバイスができます。一回も内視鏡を受診していないと、医師としても、何もアドバイスすることができません。内視鏡検査一つやっておくだけで助かる命はたくさんあると思っています。

 

 

日通システム:

内視鏡以外に、胃がんや大腸がんを発見する方法はないのでしょうか?

 

 

川合医師:

バリウム検査や大腸のCTなどがありますが、現時点では内視鏡の方が精度が高いと思います。また、胃がんのリスク因子としてピロリ菌感染があります。特に胃がんについては、発症の9割近くがピロリ菌に起因しています。ピロリ菌の検査は色々ありますが、簡単なものでは、血液検査や尿検査などで発見できるものもあります。当病院では、過去検査をしたことがない方で、上部消化管の症状を疑う症状がある場合は、ほとんどの方にピロリ菌検査をしていただいています。

簡単に検査できるものもあるのに、そもそも検査しないから発見できない。そして、発見した時には、かなり進行している。医療の現場にいると、「なぜもっと早く検査しなかったのか」と思うことが本当によくあります。

 

 

日通システム:

わずかな時間さえとれば、大事に至らずに済んだケースが多いのですね。どうすればこの状況は改善できるでしょうか?

 

 

川合医師:

やはり一人一人が、健康に対する意識を高く持っていただくしかないと思います。

車には車検があり、大きな事故を起こさないように、定期的に安全を確認することが義務付けられています。車検によって、事故の発生率はかなり抑えられていると思います。人の体も、同じだと思います。誰もが、絶対に健康であり続けるとは、言い切ることはできません。定期的に検査して、自分自身の健康に異変がないかどうか、健康であることを確認することも大変重要です。検査をしておくだけで助かる命もたくさんあります。

健康に関して、病院以外でもたくさんの情報提供がなされています。会社とか、自治体とか、健保とか、健康増進のために情報発信をしています。でも健康に興味のない方は、その情報に気が付かない。本当に知るべき人には、なかなか情報が届かない。働き盛りの世代も含めて、すべての国民が、自分の体に関心をもって、健康に敏感になることが必要だと思います。

 

 

日通システム:

働き盛り世代が大半の時間を過ごす職場の役割は大きいですね。

 

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川合医師:

その通りです。従業員の生活の一部である職場は、従業員に対して、日々いろんな啓蒙活動ができます。医療技術も進み、様々なことが分かるようになっています。医学的にも、運動や食事など生活習慣を改善すれば、病気にかかる確率を低減できることが明らかになっています。少しでも異常を感じたら、検査を受けていただき、早期に発見できれば完治する確率も高くなる。こういった情報が、企業を通じて働き盛りの方に伝わることで、働き盛りの方の意識が高まれば、健康増進の効果は大きいと思います。

医療の現場でできることは限られています。胃カメラや大腸カメラはそれなりに苦痛を伴います。健康への意識が高くない人は、そもそも、痛いというだけで、検査をしようとしません。それを、症状がない状態では医師の立場で、「受けておいた方がよい」という理由だけで強要することは決してできません。患者が、病院に来なくなってしまったら、医師としても手の施しようがありません。

だからこそ、今の健康経営のような取り組みには期待をしています。

 

 

日通システム:

働き盛りの健康増進について、IT技術に期待できることはありますか?

 

川合医師:

今まで、健康を維持しようという活動は、それなりに労力を要し、モチベーションが高くないとなかなか維持できませんでした。

コンピュータ技術で、健診項目などの情報が分かりやすくなり、またデータとして蓄積・分析しやすくなり、さらに個人を取り巻く環境に応じた提案で、生活習慣を効率的に改善できるようになると、個々人が健康のための活動を行うことへのハードルが低くなると思います。

医療の現場で医師が従事するのは「診断」と「治療」という分野であり、医療技術がいくら進んでも患者さんの日常の健康管理まではできず、その部分は今後も変わらないと思います。IT技術を使って、個々人が、自分の健康を、自分で日々メンナンスできるようになり、それによって人々の健康意識がさらに高まるようになるとよいと思います。

 

日通システム:

川合先生、本日はありがとうございました。

 

以上