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専門家視点で発信する健康ブログ

働き方改革の背景と生産性の向上

POSTED : 2017.5.19

 

 

働き方改革で「生産性の向上」が求められています。図1はOECD加盟国の労働生産性ランキングのデータを加工したものです。日本の労働生産性は1990年以降、19位~21位の間を行ったり来たりしていることが分かります。OECD加盟国数は35か国なので日本の労働生産性は若干後位に位置付けられていることが分かります。

 

 

 図2は米国、ドイツ、フランス、英国、日本の労働生産性水準を比較したものです。同じ1時間の労働に対して、米国では日本の1.75倍、ドイツでは日本の1.5倍のアウトプットがあるということになります。同じ労働時間に対して、アウトプットでこれだけの開きがあるということはやはり何かしら働き方に課題があると思います。

ただし、生産性は労働時間だけで決まるのではなく、生産プロセスで使う機械や業務効率性の影響も受けます。そこで労働だけでなく、資本の投入量等も踏まえた全要素生産性(=Total Factor Productivity, 以下TFPと言います。)を見る方法が用いられます。

 

 

 図3は、TFPの上昇率を1980年から5年毎の単位で比較したものです。1990年~1999年までの10年間、日本だけがTFPの上昇率がマイナス、つまり生産性が低下していることが分かります。この期間はバブル崩壊後であり、日本で失われた10年と言われたこの10年間は、生産性そのものも、他国が成長する中で日本だけが低下していたことが分かります。

 

 

 一方で、日本のTFPは2000年代に入ると改善しています。生産性改善の要因分析には様々な見解がありますが、その中に「リストラ」の効果であるという見解があります。リストラの結果、個人の負担が増してサービス残業等が常態化し、数字に表れていないところで頑張っていた結果という見方がたしかにできると思います。もしかしたら過重労働を招き、社会的な問題となっている背景として、こういったことがあるかも知れません。

 さらに図3を見ていただくと、2005年-2010年の10年間のTFPでドイツだけがプラスになっています。この5年間には、リーマンショックがあった2008年以降も含まれています。なぜドイツだけが、リーマンショックがありながらもこの5年間のTEP上昇率をプラスに維持できたのでしょうか?日本の働き方改革でドイツから学ぶべき点は多数あると思われます。

 

 日本はこれから働き方改革に取り組みます。政府は2017年3月末に働き方改革実行計画案を公表し、働き方改革の実現に向けたロードマップが提示されました。社会問題としての長時間労働は是正する方向で今後労働基準法の改正が進められていきます。一方で、経済問題としての賃金の上昇についても、待遇改善に向けて労働者が使用者と交渉ができるように、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法等の改正が行われることになると思われます。

図4にある通り、労働時間を減らす一方で、待遇は改善するという、相反する内容を実現するための働き方改革が今求められており、そしてその内容は各企業の努力に委ねられています。政府の奨励策をしっかりと把握して、自社に取り込める内容は積極的に取り込んで、自社にあった働き方改革を推進していくことが、これから必要になっていくと思います。

 

 

 

以上

 

日通システム

牧野好和