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企業・健保の取組事例

話を聴く専門職を育成・支援する メンタルケア協会

POSTED : 2017.3.28

 

 一般財団法人メンタルケア協会は1993年(平成5年)、慶応義塾大学医学部出身の医師たちにより設立された。同協会は、人間そのものについて学び、心のケア全般に関する知識を習得して実践に活用できる「メンタルケア・スペシャリスト」を育成し、希望者には選考を経て、報酬を得て活動を行う心のケアの専門職「精神対話士」の認定も行っている。

 

1.精神対話士について

 

精神対話士とは「物質的な豊かさだけでは埋めることのできない人間の心の寂しさ、孤独感を、専門的な知識と技能に基づく真心の対話でやわらげ、生きる希望と勇気を与え、これからの人生に生き甲斐をもち、よりよい生活を送れるよう精神的な支援」(日本メンタルケア協会による精神対話士定義の一部より抜粋)を、報酬を得て行う『心の訪問ケア(アウトリーチ)の専門職』である。厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」の「資格」で紹介されていたり、文部科学省「東日本大震災子どもの学び支援ポータルサイト」の「専門スタッフ」で紹介されていたり、池上彰氏が監修する週刊ポストの「本当にやりたい仕事20」で推薦されていたりなど今注目の資格である。

 精神対話士(メンタルケア協会ホームページ リンク)

 

 精神対話士の活動内容は、何らかの原因で孤独感や挫折感、喪失感、不安感などをお持ちの方たちに対して、気持ちの向上と生きる気力の充実をもっていただくことにある。主に精神対話士が支援しているのは以下のような方々である。

・企業にあって精神的な疲れを感じたり、疎外感をいだいたりして落ち込んでいる方

・いじめや引きこもりで孤独感や挫折感などがあり、将来への不安を抱えている青少年の方

・加齢に伴う孤独感や喪失感をだれかと共有することで和らげたい高齢者の方

・病院や高齢者を日々介護し、精神的な疲れを感じている家族の方

・身体的な病で長期入院や療養生活を送り、心に不安や恐怖心を抱いている方

・より力強く生きていくために心の支えとなる話し相手を求めている方

 

こういった方々に活力ある生活を送っていただくために、精神対話士は「対話を通して心を軽くするためのお手伝い」を行っている。「話を聴く専門職」という立場で支援を行い、場合によっては精神科医師、介護福祉士、社会福祉士などと協調しながら活動を進めていくこともある。特に精神対話士が初期に介入することで、メンタル不調に陥らない「予防効果」が高まることが期待される。

 

 「話を聴く」という行為自体は誰でも日常的に行っている行為だが、「いつでも、きちんと相手の悩みに耳を傾ける」という行為は決して簡単ではない。求めている相手の話をきちんと聴こうとする意欲だけでなく専門的な知識と技能も必要となる。メンタルケア協会は、養成講座・実践講座や選考試験を経て、専門職として活動できる精神対話士の認定を行っている。

 

 メンタルケア協会は、2017年3月12日(日)に、200名を対象に「こころに寄り添う遺族ケア」という内容での講演会を開催し、2名の精神対話士が講演を行った。2名の精神対話士のうち1名はご自身が大阪教育大学附属池田小学校事件でご子女を喪っており、1名はご自身が2001年のアメリカ同時多発テロでご主人を亡くされている。このように精神対話士には自ら心の痛みを負い、乗り越えてこられた方々もいる。メンタルケア協会では、こういった講演会と併せて、全国各地で精神対話士による「対話カフェ」を開催し、心の悩みを持つ人に対する精神対話士との直接の対話の機会も設けている。「対話カフェ」は、各開催地の行政区だけでなく、文部科学省や厚生労働省も後援しており、北海道から沖縄までの各地で開催されている。

 対話カフェ (メンタルケア協会ホームページリンク)

 

選考を経て認定を受けた精神対話士の社会的要請は日々高まっている。メンタルケア協会は精神対話士の活動事業を行うとともに、新たな精神対話士の育成・養成のために、全国のネットワークを通じて日々活動を行っている。

 

2.メンタルケア・スペシャリスト養成講座

 

 メンタルケア協会では、精神対話士の認定や心のケア事業以外の活動も行っている。特に、メンタルケア・スペシャリスト養成講座は、健康経営の実践の上でも、必要になる内容であると思われる。

 

メンタルケア協会は、企業内に「悩みに対して耳を傾ける」ことができる人が増えれば、お互いにやさしさ・暖かさを持った、風通しのよい企業になると考えており、それが実現すれば、「企業の中でメンタル不調をゼロにする」ことも不可能ではないと考えている。メンタルケア協会は、こういった企業を「企業内貢献企業」と定義し、心を大事にする職場づくりの実現を目指しているのである。そのために、メンタルケア・スペシャリスト養成講座を、多くの企業の方に受講してもらいたいと考えている。

 

メンタルケア・スペシャリスト養成講座は、東京・大阪において各々春・秋の年2回開催され、札幌・仙台・金沢・福井・名古屋・広島・福岡において各々年1回開催されている。養成課程は全15回の講義で構成されており、人間そのものを深くみつめ、人間とは何かを再確認していただくことを目的とした内容になっている。講座終了後、レポートを提出し、複数の試験委員によるレポート採点で合格と判定されると「メンタルケア・スペシャリスト認定証」が交付される。「メンタルケア・スペシャリストを組織の構成員の2割以上にする」という目的を掲げて組織単位で取り組む企業もある。金沢市の同じ社会福祉法人に勤める男女12人がメンタルケア・スペシャリスト認定を受けた時に地元紙に取り上げられたり、連合福井が3年間で150人のメンタルケア・スペシャリストを各職場に配置することが地元紙に取り上げられたりするなど、注目されている。

 

 

 

精神対話士になるためには、ここからさらに実践課程を受講し、レポートを提出、さらに選考試験を経て認定される。しかし、精神対話士のように対外的な活動を行うのではなく、企業内でお互いをケアするならば、メンタルケア・スペシャリストの認証を受けていれば、一定の基準はクリアしている。企業内でメンタルケア・スペシャリストの認証を持つ社員が増え、お互い対話によって心のケアをしあえば、職場の雰囲気が大きく変わることは間違いないだろう。メンタルケア協会が目指す「企業の中でメンタル不調をゼロにする」ことも現実のものとなるであろう。

 

 

 

以上