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企業・健保の取組事例

電通 ~ 健康経営フォーラム ~

POSTED : 2015.6.7

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株式会社電通(以下「電通」)は株式会社日経BP(以下「日経BP社」、公益財団法人日本生産性本部(以下「日本生産性本部」)との3社で

『企業における「健康」を経営という視点で捉え直し、健康経営の実践を通じて企業の新たな価値創造を促すという社会的潮流を生み出していく』

ことを目的とした”健康経営フォーラム”を主催している。

 

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日経BP社とともに、健康経営フォーラムの事務局を運営されている電通に、健康経営フォーラム発足に至った経緯と今後の展望をインタビューさせていただいた。

 

日通システム:

健康経営フォーラム発足の背景をお教えいただけますか?

 

電通:

2012年に日本政策投資銀行(以下「DBJ」)が健康経営格付融資サービスを開始しましたが、そのベースとなる健康経営の評価指標は、経済産業省の調査研究事業として、東京大学 特任助教である古井先生がトップのヘルスケアコミッティー、DBJ、当社の3社でコンソーシアムを組み、3年間にわたり受託・実施したことが背景にあります。

www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2013025-0308.pdf

 

このコンソーシアムを組む以前に古井先生から健康経営に関するレクチャーをしていただき、大変感銘を受けておりましたが、その後古井先生から「健康経営を世の中に広げるべく、一緒にやりませんか?電通さんはお得意なはずですから・・・」とお声がけいただいただいたのが、当社が健康経営に関する取組を始めるきっかけでした。

 

2010年当時、電通にはソーシャル局という、社会問題の解決と事業を結び付けていくことを目的とした組織体があり、日本の重要課題である健康や医療を含む社会保障問題に取り組むことは必然の流れでした。 当時の民主党政権では、医療(健康)・農業について、グリーンイノベーションやライフイノベーションという表現をしていて、それが今の政権に引き継がれてさらに広がりました。

 

日通システム:

健康経営センサス調査の流れから、健康経営フォーラムの発足につながったのですか?

 

電通:

先にご紹介しました経産省の健康経営調査研究は3年間の事業で、独自の健康経営評価指標をつくって健保や大手企業にヒアリングをする、という活動を繰り返して行い、2012年までは、当社としての健康経営への関わり方はあくまで調査研究事業が軸でした。

 

その時から、健康経営を民間企業に広げていくための何かしらの運動体が必要だと感じていました。まず健康経営の知名度を高めるために、情報発信して、世の中に健康経営の概念を根付かせることが必要だと思いました。そこで、日経BP社が「環境経営フォーラム」を運営していたことから、日経BP社のノウハウとスキームと融合することで、健康経営の普及のための組織体をつくろうということで、まず日経BP社と当社とで、一緒に「健康経営フォーラム」を立ち上げようということになりました。 

 

その時に、メンタルヘルスの問題も今後非常に重要になってくるだろうということで、メンタルヘルスの研究をされている日本生産性本部にも入ってもらい、3社主催ということで2013年に、「健康経営フォーラム」立ち上げのための準備を進めました。

 

そして初年度2014年に、厚生労働省の「健康寿命を延ばそう!アワード」の受賞企業であり健康に対して積極的な取組をされている株式会社フジクラ様、株式会社タニタ様、エームサービス株式会社様、そして人材という観点から株式会社パソナ様、経営指標という観点から新日本有限責任監査法人様に会員メンバーとしてご参画していただき、また先ほどの日本政策投資銀行様には協力名義でのご参画をお願いし、健康経営フォーラムを立ち上げました。

 

日通システム:

健康経営調査研究活動を通じて、健康経営の普及にあたっての課題意識みたいなものがあったのでしょうか?

 

電通 :

健康経営調査研究では、 ①健康経営のための体制を整えているかという“ストラクチャー”、 ②実行しているかいう”プロセス”、 ③その結果どういう成果が出ているかという”アウトカム” の大きく分けて3つの評価視点で、対象企業の取組を評価させていただきました。

 

「ウォーキングイベント」などは、あくまで”アウトプット”で、アウトプットまで取り組んでいる企業はありましたが、それにより社員の健康状態がどう改善したとか、数値がどう変化したなど、成果という意味での”アウトカム”まで出せている企業はわずかでした。

 

アウトカムが出せて、生産性が向上すれば企業経営にも健康経営は武器になるはずであり、この事業は奥が深いと思いました。 昨年2014年は健康経営フォーラムの初年度なので、まず5社で初めて、様々な企業と話をしてきました。

 

フォーラムについては、総論として賛同を得ても、各論としてはなかなか拡大していくのは難しいなと感じてはおりましたが、本年3月には経済産業省と東証で「健康経営銘柄」が発表され、神奈川県でも昨年からCHO(Chief Health Officer=健康管理最高責任者)構想を打ち出されるなどして、企業の方でも少しずつ当フォーラムへの関心が高まってきた感があります。

 

健康経営が盛り上がっている一つのヤマが来ており、今が重要なタイミングかなと思っています。

 

日通システム:

電通様としての、今後の健康経営フォーラムのあり方について教えていただけますか?

 

電通 :

今はまだ、世の中で、健康経営の定義がされているようでされていない部分もあると思います。

データ管理までのところもあれば、先々の生産性や労務管理まで考えているところもあるし、自社のブランド力向上や社員のモチベーションアップまで考えている企業もあります。

 

健康経営にはいくつかのレイヤーがあると思いますが、様々な業種・業態・規模の企業が集まることで、健康を軸とする相互交流、啓発、連携が起こり相乗効果が生まれるような場になるとよいと思います。

また、フォーラムからも、世の中に対して、「こういうことが健康経営なんだ」ということを認識してもらえるような取り組みを発信し、結果的に政府の成長戦略にも盛り込まれているように、企業の健康投資市場の活性化、拡大につながればと考えております。

 

できるだけ多くの企業に参加していただき、オープンイノベーション的に相互創発な場づくりに仕立てていきたいので、今はまだフォーラム参加企業は大手企業中心で業種も限られていますが、中小企業も含めいろんな立場で当フォーラムに参画してもらえればよいと思っています。

 

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日通システム:

皆さんが所属しているビジネス・クリエーションセンターとして描く、健康経営フォーラムの将来像もお聞かせ願えますか?

 

電通 :

健康経営はまだ日本では初動期かもしれません。政府は健康領域の成長産業化の中で健康投資をさせようというストーリーの中で健康経営を描いてきながらも、医療費の抑制もということで取り組んでいます。我々はそうした政府の取組みとも連携しながらも、あくまで日経BP社、日本生産性本部、そして会員企業の皆様と、民間主体でやっていきます。

 

民間でやる中では、どうやって健康経営を広げていくかというプロモーターが必要となります。会員企業と一緒になって、一つの運動体として社会的土壌の育成に寄与していきたいと考えています。 例えば、環境や情報セキュリティではISO基準があって、その基準でどうやってスタンダードを普及させるかというのがありますが、健康の領域にはISO基準のような基準がありません。健康経営を、皆さんと一緒にデファクト化していくためにも、まずは、賛同する仲間を増やしていきたいと考えています。

 

このフォーラムで健康経営のディフィニション、評価基準、アプリケーション、オペレーションや、生産性とか、ウェルネスとか、アクティビティなどの概念も含めて民間としてのスタンダードを作っていきたいと思います。

 

日通システム:

今我が国には、健康経営という考え方があり、その普及には民間企業の中にプロデューサーが必要ですが、その役割を担うのがフォーラムの会員企業といった感じですね。また同時にそれを社会に拡げるプロモーターの機能も必要で、そこに電通様としても大きな役割があるのですね。

 

電通:

CSV(Creating Shared Value/ハーバード大学マイケル・E・ポーター教授によって、CSRに代わる新しい概念として提唱された)の考え方が重要だと思います。 社会の課題解決と企業の事業が共通の価値を持ちながら進めることが望ましいと考えております。 今、健康と医療は日本社会にとって待ったなしの課題で、すでに事業とそうした社会的課題解決の両立を図っている企業もあります。

経済人として仕事をする上で、自分達が携わっているが世の中の役に立つということは重要ですし、そういう風に思っていただける会員企業様が増えていくことは本望ですね。

 

健康経営フォーラムは、今は大企業が中心ですが、自治体などでは、「地域で健康経営を推進していきます」、というのを発信し始めているところもあります。フォーラムとしても、当社としても、そういった自治体とも連携していければと思っています。

 

日通システム:

フォーラムでの取り組みの結果、社会に貢献するビジネスモデルができ、そのプロデュースができたとしても、その結果、利益を得るのが大企業だけだと、片手落ちだろう、ということですね。

地域含めて、国民全体が健康になることが究極の目的だろうということですね。

 

電通:

健康経営フォーラムで何から何までできるわけではありません。

当面は、大手企業が中心になって運営していくことは仕方がないとは思っています。

 

しかし、大企業だけが集まって、健康経営という言葉を、釈迦の念仏のように唱えていても仕方がないと思っています。中小企業の方が、社員一人における責任と、その一人一人の影響が大きい。健康経営は中小企業にとっての方がもっと重要度が高いかも知れません。その理解をまずは、経営者の方にアピールしていくことが重要だと思っています。

 

健康経営フォーラムも2年目に入っています。これまでは、健康経営とは何かとか、いろんな講師の先生を招いて勉強をしたり、意見交換をしたりして、総論の部分に取り組んできました。

 

来年3年目に入っていくにあたっては、各論に取り組んでいきたいと思います。健康経営の各論は会員の皆様と一緒に作り上げていきたいと考えております。

 

日通システム:

健康経営の各論と、貴社の目指されているデファクトとは方向性は一致するのでしょうか?

 

電通:

デファクトはもともと、あるアクションが市場支配力やシェアを持った時に成立します。そういった意味では、まず具体的な事例によって構築された基準があり、その基準にのっとって初めてデファクトとなります。

したがって、その基盤となる基準が重要で、現在経産省を中心に、健康経営評価の大枠の基準づくりが進められておりますが、こうしたものも踏まえつつ、各企業の経営課題に立脚した現実的な基準が共通のものさしとなることが望ましいと思います。

 

健康経営の視点からどういうビジネスにしていくのか?企業と社員との関係は?上から目線の管理ではなく、社員の自発的な、イノベーションと健康経営をどう関係づけていくか?  など、今後の健康経営を捉える幾つかのポイントを押さえていく必要がありそうです。

特に働き方と健康とは強く関係しています。職場にいて、何もやることがなくて「ぼーっ」としていると健康になるか、というと、そうではなく、逆にどんどん不健康になっていきます。社員をモチベートしてアクティベートすることが健康につながる。各論は、それを民間の力で、一つ一つのビジネスで、どうやって作り上げていくかということだと思います。

 

日通システム:

健康経営フォーラムも2年目になり、具体化のステージではそれぞれの企業のそれぞれの取組みがあってよいということですね。

IT企業だったらシステムから、医療機器メーカーだったら機器から、食品メーカーだったら食事から、いろんな健康経営へのアプローチの形があってよいということですね。

それをそれぞれの理解で、健康経営のためのそれぞれのメソッドを確立していく。それも文章ではなく、世の中にビジネスとして実際にデビューさせることが重要なのかなと。

 

電通:

そのためにも健康経営フォーラムのメンバー同士でコラボレーションが生まれ、それが健康経営フォーラムから、個別の事例として、これが新しい健康経営の仕組みですよ、と発信できるといいなと思っています。

健康経営のデファクト化を目指す組織体として、意識の高い会員さんにこの場を活用してもらいたいなと思っています。運営するのは事務局側だけでなく、会員の方からご提案をいただいて、会員の方が健康経営フォーラムを動かしていくという考え方も有り得ると思います。

会員企業が1社でできるものならば、1社でやっていただいてよいと思うが、他の会員企業と一緒に取り組むとか、健康経営フォーラムの看板を使うなど、なかなか1社ではできないところを、健康経営フォーラムを活用してぜひやってもらいたいと思っています。

 

日通システム:

本日はありがとうございました。

 

以上